今、求められるデータインテグリティへの対応

近年、国内外を問わず、データの偽装や改ざんなど、データの不適切な取り扱いによる不正が大きな社会問題となる中で、医薬品製造の分野で古くから必須事項として知られていたデータインテグリティの重要性が、広く認識されるようになりました。現在、世界各国の規制当局が、このデータインテグリティにフォーカスしたガイダンスを発表するようになり、査察により不適合が指摘されたり、不正が原因で、事業者が製造許可の取り消しなど重い処分を受けるケースが報告されています。

日本サード・パーティ(JTP)では、お客様がデータインテグリティを実現し、規制当局の要件をクリアできるよう、分析機器のバリデーションサービスと、研究開発工程におけるデータとワークフローの統合管理を行うソフトウェア製品「電子ラボノート」、分析データの処理工程を自動化するRPAの導入サービスを提供しています。今回の特集では、データインテグリティをテーマに、JTPが提供するサービスや製品、導入事例、そしてライフサイエンス領域におけるJTPの強みや実績をご紹介します。

データインテグリティとは

「データインテグリティ(Data integrity)」とは、データのライフサイクル全体において、改ざんや偽装を防ぎ、データの完全性と正確性が客観的に担保されている(不適切な取り扱いができない)ことを言います。データインテグリティは、GxP要件では古くから必須事項であり、対応できている前提で考えられていました。しかしながら、2000年代以降、医薬品の安全性追求やデジタル化、そしてマーケットやサプライチェーンのグローバル化の流れの中で、データに関する不正や、要件の不適合が多く発生するようになり、あらためて注目されるようになりました。

2015年3月に、MHRA(イギリスの医薬品・医療製品規制庁)が、データインテグリティに関するガイダンスを発出されて以降、2年間で、WHO(世界保健機関)、FDA(米国食品医薬品局)、PIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム)、ISPE(国際製薬技術協会)などの規制当局からも、相次いでガイダンスが発出され、日本国内でも事業者が、政府より自主点検を要求されるなど、データインテグリティは、今やグローバルな規制要件となっています。規制当局による査察で不適合が発見された場合、処分は当該施設だけでなく、サプライチェーン全体が対象になることがあり、その影響は計り知れません。

データインテグリティ

データインテグリティの要件のポイント

データインテグリティは、「ALCOA」として知られている、Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、Original(オリジナル性)、Accurate(正確性)の基本原則に合わせて、Complete(完璧性)、Consistent(一貫性)、Enduring(永続性)、Available(可用性)などを加えて説明されています。そして、その対象は、デジタルデータだけでなく、紙文書から、ハードウェアやソフトウェア製品、メタデータ、施設全体のセキュリティ、運用体制や教育などを含む、包括的なものとなっています。

  • 分析・計測機器やソフトウェア製品も対象
  • プロセスや手順の標準化
  • デジタルデータだけでなく、生データ、紙文書も管理
  • CSV(Computer System Validation)対応
  • メタデータ(「誰が、何を、いつ、どこで」などのデータの属性情報)を管理
  • 作業履歴と監査証跡の記録
  • ITインフラや施設のセキュリティの強化
  • 運用体制の強化やスタッフの教育

MHRA(イギリスの医薬品・医療製品規制庁)のガイダンスが定めたデータのライフサイクル

MHRAの図

データインテグリティの実現を支援するJTPのサービス・製品

分析・測定機器のバリデーションサービス

分析・測定機器のバリデーションサービス
機器のライフサイクル全体で求められる規制要件をクリアできるようサポート

バリデーションとは、対象となる分析・測定機器が「適切な結果が得られることを検証し、文書化する」ことです。機器のバリデーションは、GxPやFDAの必須要件でもあり、機器それぞれのライフサイクルに応じて、DQ(Design Qualification:設計時適格性確認)、IQ(Installation Qualification:据付時適格性確認)、OQ(Operational Qualification:運転時適格性確認)、PQ(Performance Qualification:性能適格性確認)などが定められています。JTPでは、バリデーションだけでなく、機器の導入支援から保守まで、お客様の分析・測定機器のライフサイクル全体に渡るサービスの提供が可能です。

電子ラボノート(ELN)

電子ラボノート(ELN)
電子化による規制要件への対応と業務効率化を実現するサービス

電子ラボノート(ELN)は、規制当局のガイドラインで求められるデータの適正な記録、監査証跡、データ保護から、情報共有、共同作業、ワークフローの簡素化など、データインテグリティだけでなく、ラボの業務全体の効率化を実現するサービスです。JTPでは、お客様が利用する分析・測定機器や業務プロセスに合わせたカスタマイズも含め、電子ラボノート(ELN)の導入から運用までをワンストップでサポートします。

RPAによる「分析データ処理工程の自動化支援パッケージ」

RPAによる「分析データ処理工程の自動化支援パッケージ」
定型業務の自動化による品質向上と人的リソースの削減

化学分析業務の工程にある様々な定型業務をRPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化) によって自動化することで、業務効率化や品質向上、人的リソースの削減を実現します。このパッケージには、お客様向けのシナリオ作成や実際の導入支援から、導入後のサポートやスタッフの教育、RPA システムのCSV(Computer System Validation)対応などが含まれています。

詳しくはプレスリリースをご覧ください。

導入事例

富士フイルムRI ファーマ株式会社
電子ラボノートによるデータの改ざん防止と業務省力化

富士フイルムRI ファーマ株式会社は、創業以来、核医学診療で利用される放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行っており、富士フイルムグループのメディカルシステム・ライフサイエンス事業の中核を担う会社として、機器・ソフト・材料・薬剤などが一体となったトータルソリューションを提供しています。同社は、業界で求められるデータインテグリティや規制要件への対応と電子化による業務省力化やリソース最適化などを目的として、電子ラボノートを導入しました。今回は、生産本部 千葉工場 品質管理部の五十嵐 隆氏に、電子ラボノートの導入の背景やその効果についてお話を伺いました。

今、製薬業界全体で、データインテグリティ(以下、DI)への対応が必須になってきています。当社では、医薬品の製造時などに、成分の分析に化学分析機器を使用しますが、この際、GMPの規制要件に対応した形で、データの完全性を保つ必要があります。

機器によっては、機器単独でDI対応が可能なものもありますが、まだすべての機器では対応できないため、私たちは、試験記録の作成の部分を電子化することとし、電子ラボノートの導入を決めました。
電子ラボノートの導入によって実現できることの一つは、試験記録の改ざんを防ぐことです。例えば、測定して得た試験記録を改ざんしようとしても、電子ラボノートには、いつ/誰が/何の目的で操作したかの監査証跡が残るため、事実上、改ざんを防ぐことができます。

また、従来のように、試験記録を紙への転記で作成し管理していると、正しく測定できていても、書き間違いが発生するリスクがあります。そのため、作業者がチェックすることはもちろんのこと、作業者以外の人によるダブルチェックや、さらには、最終的には責任者がチェックする必要があり、責任者になればなるほど、紙のチェックに時間を取られていました。電子ラボノートでは、材料のロット番号などはデータベース化されていますし、データ入力の際にCSVに合格した電子ラボノートシステムを使うのであれば、電子ラボノート上に表示される数字を改めてチェックする必要はありません。これにより業務が省力化され、責任者も本来やるべき業務に集中できるようになりました。

試験記録の電子化は、従来の業務プロセスを変えることにもなるため、導入に向けては様々な壁が立ちはだかることがあります。しかしながら、DIを実現するためには、電子化が必要不可欠であり、これに対応することは私たち製薬企業としての使命です。一つ一つ乗り越え、対応を進めていきたいと思います。

五十嵐 隆氏

五十嵐 隆氏
富士フイルムRIファーマ株式会社
生産本部 千葉工場
品質管理部 品質管理第二グループ
参事

ライフサイエンス分野におけるJTPの強み

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    様々な機器メーカーと機種のサポート実績

    JTPには、様々な機器メーカーと機種の長年に渡るサポート実績があります。お客様が利用されている複数の異なる機器メーカーの製品に対して、まとめてサポートを提供することができます。

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    ITインフラやソフトウェアのサポート

    JTPには、エンタープライズ向けのITインフラやソフトウェアソリューションの分野でも豊富な実績があり、ITインフラやソフトウェアも含めたラボ全体の包括的なデータインテグリティの実現をサポートすることができます。

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    英語での業務対応

    JTPには、バイリンガルの技術者が在籍しており、英語で提供される機器やソフトウェアのトレーニング、原文マニュアルでの対応、海外の技術者とのコミュニケーションなど、英語での業務対応が可能です。

お客様がデータインテグリティを実現するために
私たちの化学分析機器とITの知識と経験でサポートします

「データインテグリティ」の概念自体は、決して新しいものではありません。しかし、今、企業が求められる規制の要件に完全に対応するためには、「電子データ」が要求事項となることは明らかです。そのため、データの取り扱いやセキュリティに関するIT知識が必然的に求められ、なかなか簡単に実現することはできません。

「規制対応」と聞くと、どうしても守りのイメージや、非生産的な印象を持たれるかもしれません。しかしながら、データが電子的に、適切な状態で保管されることによって、信頼性を担保することができ、また、業務も効率化することができます。また、データの利活用も可能になるため、例えば、検査記録のデータを適時に検索し分析することで、製品改良への知見を得ることができるかもしれません。

「何か対応をしなくてはいけないのはわかるけど、どこからやったらいいのかわからない」、そんなときのために、私たちJTPがいます。私たちは、これまで約20年以上にわたり、化学分析機器メーカーの品質維持業務や、バリデーションのサポートを行ってきました。そして、ITの分野においては、30年以上にわたる実績があります。化学分析機器とITの双方の知識・実績で、私たちがお客様の力になれる部分は多いのではないかと考えています。

優れた技術を持つ企業が、本来注力すべき研究や開発に対し、時間やリソースを投じることができない状況は、望ましいことではありません。私たちは、お客様の「何とかしたい」という気持ちを、形に変えられるような存在でありたいと思っています。一緒に可能性を探りながら、実現させましょう。

佐藤 裕寿 飯田昇吾

左)佐藤 裕寿
取締役 営業開発本部長

右)飯田昇吾
第二ソリューション事業本部
ライフサイエンスソリューション事業部
ライフサイエンスソリューション第一部
グループマネージャ

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日本サード・パーティ株式会社 マーケティング室