仮想化技術の基本1 サーバの仮想化

仮想化技術の基本1 サーバの仮想化

現在、オンプレミスからクラウドへの変革の大きな波が来ています。クラウドサービスはどのように提供されているのでしょうか。ご存じのように、クラウドサービスというのは仮想化技術を利用することで、ネットワークを通し、迅速にかつ低価格で利用できるようになっています。クラウドサービスを理解する上でも必要不可欠な仮想化技術の基礎を連載形式で紹介していきます。第1回は、「仮想化技術の概要」と「サーバの仮想化」についてです。

仮想化技術とは

『仮想化』と聞いてパッと頭に浮かぶのは、1台の物理マシン上で複数の(仮想)サーバが動作している光景ではないでしょうか。1台の物理マシン上で複数の(仮想)サーバを動作させることはサーバの仮想化といいます。

ところで、仮想化技術とはどのような技術でしょう?仮想化技術を一言でいうと、

「物理的なリソースを論理的に分割、統合するための技術」

です。物理リソースを直接扱う場合、物理リソース量は絶対に変更できないものです。例えば、32GB メモリを搭載した物理システムでは基本的に32GB 以上のメインメモリを使用することはできません。ですが、現在では仮想メモリという考え方があります。ハードディスクの一部をあたかもメモリのように利用し、32GB 以上のメモリがあるように動作するという考え方です。仮想メモリでは、「メモリ」と「ハードディスク」を論理的に統合することで、アプリケーションからは「メモリ」を使っているのか「ハードディスク」を使っているのか意識しないで利用できます。

また、論理的な統合という意味では、RAID(※1)構成も仮想化技術となります。RAID1 では、2個の物理ハードディスクを統合し、あたかも1個のハードディスクのようにOS から認識させます。一方、論理的な分割という意味では、VLAN(※2)によるネットワークの分割が代表的な利用方法です。このように、さまざまな物理的なリソースを論理的に分割、統合する技術を仮想化技術と呼んでいます。

※1:RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)
複数台のハードディスクを組み合わせることで仮想的な1台のハードディスクとして運用し冗長性を向上させる技術(参照元リンク)

※2:VLAN(Virtual Local Area Network)
スイッチなどのネットワーク機器の機能により、物理的な接続形態とは別に仮想的なネットワークを構成すること(参照元リンク)

サーバの仮想化

サーバの仮想化とは、1台の物理システムの上に、複数の仮想サーバを動作させる技術です。


1台の物理システムの上に、複数の仮想サーバを動作させるには、仮想化のためのソフトウェアを使用します。仮想化のためのソフトウェアは一般的に VMM(Virtual Machine Monitor : ハイパーバイザーともいう) と呼ばれます。VMMを使用することで、仮想サーバを動作させることができ、仮想サーバとは、仮想マシン + 仮想OS + 仮想OS上のアプリケーションを合わせたものとなります。

サーバ仮想化が拡がっている背景

また、サーバ仮想化が拡がっている背景としては、

  • 物理リソースを有効に活用できる
  • サービスを提供し続けることができる

というメリットが挙げられます。1つずつ見ていきましょう。

メリット1 物理ソースの有効な活用

まず、サーバのCPU利用率を見てみましょう。例えば、だいたい9:00-10:00頃と、17:00-19:00頃にCPU 利用率のピークがあるサーバをAサーバとします。2回のピークはありますが、その他の時間帯は利用率が低いことがわかります。
もう1つ、CPU利用率が下記のように推移しているBサーバがあります。3回ほどのピークがありますが、Aサーバと同じように、その他の時間帯は利用率が低いです。CPU 利用率のグラフを合体させたのが、下図になります。

CPU利用率が高くなるピークが3回発生しますが、100%の利用率ではなく、余裕はある状態です。すなわち、1つの物理システム上に、Aサーバ用の仮想マシンと、Bサーバ用の仮想マシンを作成して動作させたとしても、性能に問題は発生しないということがわかります。さらに、CPU リソースを有効的に活用できそうだということがわかります。すなわち、「性能に問題なく物理リソースを有効活用できる」ということが、サーバ仮想化におけるメリットの1つ目となります。

メリット2 サービスを提供し続けることができる

サーバ仮想化の技術を使用することで、利用可能となる機能のひとつに、ライブマイグレーションという機能があります。ライブマイグレーションとは、パワーオン状態の仮想マシンを停止することなく、他の物理システムに移動させることのできる機能です。
パワーオン状態の仮想マシンを停止することなく、他の物理システムに移動させることでどのようなメリットを享受できるのでしょうか。壊れない物理システムというのは残念ながらありません。

「CPUの故障」だったり、「メモリの故障」、「システムボードの故障」など物理システムとは壊れるものです。物理システムの部品が壊れた場合、部品を交換する必要があります。部品を交換するには、物理システムを停止する必要があります。物理システムが停止すると通常その上で動作している仮想マシンも停止してしまいます。

仮想マシンでは、mail サービスや、web サービス、ファイルサービスなど業務に直結するサービスが動いています。また、24時間365日提供すべきサービスが動いていることもあるでしょう。今や、24時間365日のサービス提供は当たり前の時代です。物理システムの不良部品を交換するたびにサービス停止が発生していては、信用問題にも発展してしまいます。仮想マシンを停止することなく他の物理システムに移動させた後、物理マシンを停止すれば、サービス停止を伴わないで、不良部品を交換することができます。

このように、ハードウェアのメンテナンス作業を行う時にでも、「24時間365日サービスを提供しつづけることができる」というのがサーバ仮想化におけるメリットの2つ目です。

今回はここまで

以上が、第1回目の内容です。
次回以降のコラムでは、「ストレージ仮想化」や「クライアント仮想化」の概要、「仮想化に使われる技術」、「クラウドとの関わり」などの紹介をしていく予定です。お楽しみに!

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