ERPシステム導入術~導入プロセスとTCO編~

ERPシステム導入術~導入プロセスとTCO編~

今までのコラムではERPを導入することによる企業のメリットについてお話をしてきました。しかし、ERPは利益をもたらすための手段でありながらにして 、、また多くのコストを必要とするシステムでもあるのです。今回はERPを導入する際のコストについて触れてみましょう。

知っておきたいシステム導入のコストとTCO

今まで公開されたコラムで企業がERPを導入するメリットをいくつか紹介してきました。しかし、ERPの導入も無料というわけにはいきません。
ERPは企業の基幹システムとして導入されることが多く、大規模での構築になることがあります。そうすると、ERPの導入に多くのコストをかけることになります。

導入することで 無駄を削減し効率化を図り、多くの利益を会社にもたらすシステムであり、多額のコストをかけて導入されるシステムでもある、それが ERPなのです。

コストとはどういうもの?

ERPに限った話ではありませんが、新しいシステムの導入には多くのコストがかかります。
コストといってもお金であったり、時間であったりさまざまなものをさします。

お金

何をするにも先立つものが必要です。まずは必要なものを調達してくる必要があり、購入する必要があります。システムを利用するためのハードウェアやソフトウェアの購入などです。雇う人やコンサルタントの費用などにもお金が必要です。

時間

日本には古来より「時は金なり」という言葉がありますが、システムを導入するために割かれる時間もコストとして考えられます。
導入するまでの計画を立てる期間、システム構築から運用までにかかる期間、そしてオペレータの教育などです。
時間がかかればかかるほど、人件費やコンサルティング費用などが膨れ上がります。

労力

システムは勝手には出来上がったりしません。もちろん人が構築することになるわけですが、その人を確保することもまた、コストになります。
システムの導入をサポートしてくれるコンサルタント、実際にシステムを導入し構築するメンバ、そしてシステムのカスタマイズをする開発者などです。
導入されるシステムの規模が大きくなればなるほど、多くの人を集めなければいけません。もちろんボランティアではないので、人件費がかかることになります。

ここまで述べたように、システムの導入には多くの「コスト」をかける必要があります。
お金という一番わかりやすいものから、時間や労力といったものまでを全てまとめて、コストと呼ぶのです。

そしてこれらは、システムを導入するときだけではなく、そのシステムを使い続ける限り発生するコストでもあります。
この、導入から運用、維持(管理)にかかる全てのコストを 「総所有コスト(Total Cost of Ownership / TCO)」 と呼びます。

企業の課題、TCOの削減

システムは導入するためにもコストを必要としますが、それを運用し続けることもまたコストを要します。そう、この 「導入から維持運用にかかる総合的なコスト」 をTCO と呼びます。

システムの導入は、それ自体が目的ではもちろんありません。ですから、企業の多くが TCOの削減 を課題として抱えています。
コストを削減するというのは、単純に言えば 「早く、安く、簡単に」 ということになりますが、これを実現するためには山ほどの情報を整理する必要があります。

1. 導入から運用までの道のり

まず、新しいシステムを導入するとなると「どんなシステムを、どのくらいの規模で導入するか」を決定しなくてはいけません。
この計画が杜撰であるほどに、システムは宝の持ち腐れと化してしまいます。そうならないために、企業は「システムを導入する目的=解決したい問題」をしっかりと把握し、その問題を解決するための製品の選定、導入規模の決定を行います。多くの企業は、この過程に多くの時間を費やします。それほど重要な課程なのです。

2. 必要な工数と人員の見積もり

必要なシステムの調達の見通しが立ったら、次は 「工数=どのぐらいの作業量」 と 「人員=必要な人手」 を見積もります。

システム導入はいきなり業務で利用するシステムを構築するのではなく、開発やテスト用のシステムを構築 するところからスタートすることが一般的とされます。開発やテスト用のシステムは、実際に業務で利用するシステムではありませんが、トラブルが少ないシステムを構築するためには必ず必要なシステムです。もちろん、これらのシステムの導入/構築も工数に含まれます。行うべき作業が決まったら、もちろんそれらの作業を実施するための 人手 が必要になります。工数から人月計算(1人が1ヶ月で行うことが可能な作業量)を行い、必要な人員を見積もります。(ここを安易に削減すると、かえって高くつくことがあります)

3. 導入後の運用と成長の計画

ここまでの流れで、導入したいシステムが明確になり、導入するための作業量と人員を見積もることが出来ました。あとは、計画通り導入がスタートし、実施されていけばよいのですが、冒頭でも述べたとおり、システムは導入がゴールではありません。導入後の運用コストも、出来るだけ早い段階で見積もる必要があります。このフェーズを疎かにすると、導入したものの「維持費が高いから安いシステムにかえる」という、また別にシステム導入のスパイラルに陥ります。

システムは導入後、企業の基幹システムとして活躍します。その システムがもたらす利益により、企業はより成長をする はずです。そのためのシステム導入なのですから、当たり前のことです。しかし、企業が成長するということは、システムも一緒に成長をしなくてはいけない ということです。システムが扱っていたデータ量も増えますし、システムが処理をする要求の量も増えます。つまり、システムのスペックや機能も成長できるだけの拡張性を備えておく必要があります。
どれだけ成長するか、という情報を導き出し、「大は小を兼ねる!」という大雑把な判断をするのは場合によっては逆効果ではありますが、拡張が容易なシステムを選ぶのが良いでしょう。

また、先に述べたどのようなシステムを調達するか、というところでもこの件は考慮されるべきでしょう。企業の成長に合わせて、発生する問題に変化が訪れます。現行のシステムでは解決できない問題が発生してしまえば、新しいシステムを導入することにつながり、システムの乱立につながります。

コストを抑えるため整理しておきたい情報

さて、ここまでシステム導入における TCO について述べました。TCOとはシステム導入から運用、維持における全体のコストです。TCOを削減する、ということは、システムを取り巻く環境を導入時からしっかりと考え、情報を整理する ことで行われます。

  1. システム導入の目的を明確にする
  2. 必要な工数、人員を見積もり、計画を立てる
  3. システムの成長度、拡張性を考慮する

これらが、TCO削減のために整理しておきたい情報です。

コストの削減というのは、見えている数字を小さくする作業ではありません。本当に必要なコストを洗い出し、無駄を削減する ことです。その洗い出しをするために、沢山の情報を収集し分析する。それをお手伝いするのがERPの役目です。
しかし、そのERPにもまたコストがかかっていることも知っておきましょう。

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