簿記を学ぼう!~2~「財務諸表について」

簿記を学ぼう!~2~「財務諸表について」

2016.02.24

業務系システムには、必ず関わってくる会計の知識。全ての基本は簿記にあります。前回の第1回は簿記の基本についてご紹介し、勘定科目とは、仕訳とは何かについて確認していきました。今回は、簿記で記録した取引をどのように活用していくのかをみていきましょう。ズバリ、財務諸表に使います。

はじめに

前回は、簿記とは何かという基本的な内容を学習しました。簿記とは、取引を”記録”したり、記録した取引をレポートに表示するために、すべての会社で共通で使用しているルールでした。会社独自のルールではなく、共通のルールを使って財務諸表というレポートをつくって公開することで、株主が複数の会社を公平に比較することができます。

今回は、記録という”インプット”ではなく、財務諸表に出すという”アウトプット”に焦点を当てていきます。このアウトプットを実現するために、簿記にしたがって伝票の作成を一生懸命に行っているわけです。

財務諸表には主要なレポートが4種類ありました。

  • 貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
  • 損益計算書(P/L:Profit and Loss)
  • キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow)
  • 株主資本等変動計算書(S/S:Statements of Shareholders’ Equity)

と呼ばれるものです(文字数が増えると見づらくなりますので、基本的には略語を使って説明します)。

S/Sについてはまたの機会にして、今回は、B/S, P/L, C/F の特徴をつかんでいくのがテーマです。

貸借対照表(B/S)


貸借対照表、英語でBalance Sheetを略して、B/S とよく言います。一言で言えば、特定の時点における会社の財政状況です。ただし、財政状況といわれてもピンとこないと思いますので、Balance Sheetという名前から考えてみましょう。

上記の図において、借方(資産)と貸方(負債+純資産)のそれぞれ合計金額が必ず一致することから、バランスシートと呼ばれます。では、なぜ貸借が一致するのかというのが理解する上でとても重要です。複式簿記だからという回答もありますが、もう一つの解釈を見ていきます。


上記のように考えると、なんとなくわかりやすくなった気がしないでしょうか。

右側(貸方)は、お金をどうやって調達したかを表しているとみなすことができます。負債の部はお金を借りたり、ツケで仕入れたりしていることを表し、純資産は、資本金といった会社を運用するための元手となるお金を表します。会社の事業というのは、この調達してきたお金を投資していく行為です。

そして、左側(借方)は、お金を何に投資したかを表しています。資産の部は、手持ちの現金や預金、売るために仕入れてきた商品、投資をおこなってきた建物や機械など、調達してきたお金を何に使ったかを表しています。

左側はお金を何に使ったか、そして、右側にそのお金をどうやって調達したかが載っているだけですので、ほぼ貸借が一致します。これだけだと少しずれが発生しますが、その理由についてはすぐに後述します。
もう一つ考慮しなければいけないことは、右側の調達してきたお金以上を稼ぐ(利益を出す)のが会社の役割であることです。その利益分についてもB/S上のどこかに載せる必要があります。稼いできた分は資産となっていますので、左側の方が大きくなってしまいます。

そこで、右側がどうなるかが重要です。純資産の部に注目します。会社が資本金のような元手となるお金を調達する方法の一つは、自分で稼ぐことです。つまり、稼いだ利益分は右側の純資産の部に載せていきます。細かな会計の話は抜きにしますが、このようにすると表の貸借が一致しますので 美しいB/S が誕生します。

損益計算書(P/L)


さて、B/Sをみると、純資産に利益が表示されていますが、なぜ利益が出たのかはまったくわかりません。費用がどれぐらいの商品を売って、どれぐらいの収益を出したのだろうか、また、貸していたお金の利息はきちんと収益に入っているだろうか、その他にも、災害で損傷した建物の修復など予想外の費用はどのように扱ったのだろうか、などなど、なぜその利益が出てきたのかが想像することしかできません。

そこで、必要になるが、損益計算書、 P/Lです。P/Lは一定期間の経営成績を表すものです。「今年はどんな収益や費用が発生して、最終的に、どれぐらいの利益(当期純利益)が出たのか」を表しています。詳しい話は次回にしますが、P/Lで導き出される当期純利益をB/Sの純資産に載せていきますので、B/Sの純資産の項目とP/Lの当期純利益の項目は一致します。

キャッシュフロー計算書(C/F)


またまた、B/Sをみると、現金及び預金という項目に、会社が今すぐに使えるお金が表示されています。実は、すぐに使える現金というのはとても重要で、黒字の状態でいくら利益を出していたとしても、返済日に、お金が足りなかったら倒産してしまいます。いわゆる黒字倒産です。

B/Sには表すことのできない、現金の流れ(Cash Flow) に注目して、会社の経営実態を知ろうというのが、キャッシュフロー計算書、C/F となります。いろいろ分析できますが、今回は割愛します。こちらも、C/Fの現金の残高とB/Sの現金及び預金の金額が一致します。

B/S、P/L、C/Fの関係性

※ 厳密にいうと赤線部は必ずしも一致するわけではありません。

このように、B/S、P/L、C/Fの3つは、お互いに関係し合っています。いろんな解釈がありますが、B/Sには会社の全ての金額が出てきますので、最も重要なものであると私は考えています。そして、B/Sで読み取ることができないものを、P/LやC/Fを使って補っていきます。

ちなみに、まとめたものが上記の図です。それぞれのレポートは意味するものがまったく違うにも関わらず、表示されている金額は一致してきます。

このように、これだけ複雑なものを扱いながら、必ず3のレポートの間にはある種の調和が保たれていることが、簿記が美しいともいわれる所以です。

まとめ

このように、財務諸表というのは、それぞれが異なる会社の情報を表しているにも関わらず、必ず整合性が保たれています。

いろんな理解の仕方がありますので、財務諸表を理解するためには、自分にあった考え方でまずは初めていくのがお勧めです。今回は、かなり簡略化していますので、さらに書籍等で財務諸表の全体像を理解してください。おのずとB/SやP/L、そして、簿記の重要性がわかってくるはずです。

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