Microsoft がLinuxに恋をした? – Red Hat を、Microsoft Azure で動かす

Microsoft がLinuxに恋をした? – Red Hat を、Microsoft Azure で動かす

2016.03.30

2015年11月の発表で、驚きが走ったMicrosoft社とレッドハット社の業務提携。そこからクラウドの世界にどんな新たな世界が広がっていくのか…?クラウドの復習から、Microsoft Azure を取り巻く環境について、のぞいてみます。

そもそもクラウドって?

最近、記事など読んでいても必ずといってもいいほど目にする 「クラウド」 という言葉。今回もそのクラウドについて、扱いたいと思いますが、「実はクラウドってあんまりよく分かっていない、、」という方向けに、少しだけ、復習です。

クラウドとは

クラウドは、データセンターに置かれている大規模なリソースを、インターネットを介して、利用する形態です。利用形態によって、「パブリッククラウド」、「プライベートクラウド」 があります。その名の通り、「パブリッククラウド」 では、クラウド業者が提供する、すでにサービス化されたリソースを使用し、「プライベートクラウド」 では、自ら構築の部分から手掛けます。これらを組み合わせた 「ハイブリッドクラウド」 といった形態もあります。

また、クラウドで使用する場所によっても種類が異なります。インフラストラクチャーをクラウド上で構築するものを Infrastructure as a Service (IaaS)、アプリケーション実行環境をクラウド上で利用するものを Platform as a Service (PaaS) 、すでに構築されたアプリケーションやサービスを利用するものを Software as a Service (SaaS)、といった具合です。SaaSは、Googleの各種サービスやDropboxなどで、普段から使っている方も多いのではないでしょうか。

クラウドの最大の利点は 「必要なものを、必要な時だけ」利用できる ことです。例えば、マシンを使いたいという場合、オンプレミスの場合は、初めにリソース設計を行い、必要なスペックのハードウェアを買い揃えることから、構築が始まります。しかし、クラウドの場合は、必要なマシンを選んで、後は構築ボタンを押すだけ。使った分だけ課金される 「従量制課金」 によって、起動した時間分だけ支払えばいいだけです。

Microsoft Azure と Amazon Web Service (AWS)

パブリッククラウド市場の上位を占めているのが、Amazon社 の Amazon Web Service (AWS) と、Microsoft社 の Microsoft Azure です。どちらも、IaaS, PaaS を提供しています。
AWSはパブリッククラウドシェア1位であり、手軽に、また安い料金設定で使うことができるため、おそらく一番有名なものではないかと思います。しかし今回は、今注目を集め伸びてきている Microsoft Azure について取り上げてみたいと思います。

Microsoft Azure

Microsoft Azure は、シェアこそは2位ではありますが、現在急成長しており、その中でも日本においての注目を集めつつあります。その理由は、データセンタの拡張にあります。はじめ、Microsoft Azure は日本にデータセンタを設けていなかったため、なかなか日本においてのシェアは広まりませんでしたが、2014年に、東日本と西日本、それぞれ1ヶ所ずつデータセンタが設置されました。これにより、日本国内でデータを複数地点における、ということで安心なイメージも定着し、一気に注目が集まりました。
また、日本国内のみならず、Microsoft社は、Windowsやソフトウェアアプリケーション製品の売り上げによる潤沢な資金を用いて、データセンタ新設に多大な投資をしており、急速に拡大 を続けています。

余談ですが、Azure のサイト上にはMicrosoft Azure vs. Amazon Web Services (AWS) という、ちょっと挑戦的な特集ページが組まれていました。
Microsoft Azure vs. Amazon Web Services (AWS)

Red Hat on Microsoft Azure

Microsoft社といえば、その昔、当時のCEOが 「Linuxはガンだ」 と豪語していたという過去がありますが、それが一転、「Microsoft Loves Linux」 というキャッチフレーズとともに、Microsoft Azure 上で、Linuxを動かす といった動きが一気に加速しました。これは、オンプレミス→クラウドへの移行の中で、既存の環境でLinuxを使用している環境が非常に多いことが挙げられるかと思います。

Windows Server Blog – Microsoft Loves Linux

Windows Server Blog より

Microsoft社とレッドハット社の提携

そして、界隈を賑わせたニュースが、2015年11月の Microsoft 社とレッドハット社の提携 です。
プレスリリース Microsoft and Red Hat to deliver new standard for enterprise cloud experiences

「AWS上でもRed Hat Enterprise Linux (RHEL) は動かせるよ」と思った方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、AWS上でも動かすことはでき、また、“Bring Your Own License (BYOL)” のモデルで、既存のサブスクリプションを使用することもできます。
Red Hat とアマゾンウェブサービス

しかし、Azure上 では、RHELのみならず、レッドハット社の様々なソリューションを利用 することができます。もちろん、製品のサポートも、オンプレミス環境と同様に受けることができます。

現在のMicrosoft Azure 上でのレッドハット社製品サポート対象

  • Red Hat Enterprise Linux
  • Red Hat Enterprise Linux Atomic Host
  • Red Hat JBoss Enterprise Application Server
  • Red Hat JBoss Enterprise Web Server
  • Red Hat Gluster Storage
  • Red Hat OpenShift

これだけ使えるということは、サーバ構築から、アプリケーションのデプロイまで、Azure上でなんでもできてしまう!また、分散ストレージであるGluster Storage もサポートしているため、すでにオンプレミス環境でレッドハット社製品を組み合わせて環境を構築しているユーザも、そのままAzure上に移行 していくことができます。

また、これらの製品サポートは、Microsoft社・レッドハット社の提携ストーリーのはじめの一歩です。今後、Microsoft社のアプリケーション開発基盤 である、.NET を、RHEL、RHEL Atomic Host、OpenShift Enterpriseでサポート予定とのことです。

Azure で Red Hat ソリューションを使用する

Microsoft Azure Certified Cloud Provider

ベンダーの垣根を越えて、クラウドの垣根を越えて

Microsoft ではWindowsしか利用できない?そんな時代はもう終わりました。レッドハット社に限らず、さまざまなLinux ディストリビューションを構築することができます。また逆に、レッドハット社のプライベートクラウド製品である OpenStack Platform 上でも Windows のサポート が始まります。

このように、ベンダーカットの製品運用から、「より適した利用方法を、多ベンダーから選んで使う」 という運用方法に変わりつつあります。また、クラウドも、ただパブリッククラウドとプライベートクラウドを上手く組み合わせて、ハイブリッドクラウドの構築においても飛躍的に選択肢が広がってきました。

これまでの固定観念を捨て、ぜひいろんなベンダーの動向に注目して、新たなクラウド利用の世界に踏み込んでみてはいかがでしょうか。

記事は、予告なく変更または削除される場合があります。
記載された情報は、執筆・公開された時点のものであり、予告なく変更されている場合があります。
また、社名、製品名、サービス名などは、各社の商標または登録商標の場合があります。