ERPシステム導入術 ~フィット&ギャップ分析編~

ERPシステム導入術 ~フィット&ギャップ分析編~

これまでERPというシステムの魅力や、そのシステム導入におけるコストの概念についてお伝えしてきました。今回は導入の考えで、フィット&ギャップ分析というものについてお伝えしましょう。

前回までのおさらい

前回の記事はこちら

まずは、これまでの内容を振り返ってみることにしましょう。

ERP とは、企業の業務の効率化を推進するサポート役のシステム でした。企業が持つ資源(人・モノ・お金) を管理し、無駄のない運用につなげることを目的としています。

ただ、そのシステムを導入するためには 投資 しなくてはならず、投資には多くの お金と人手(コスト)を必要とします。またこのコストは導入後にも継続的に必要となり、管理や維持費として発生します。これら 導入から運用・管理に必要なコスト を TCO(総所有コスト) といいました。

費用対効果の考慮

そして、システムを導入するメリットと導入コスト(TCO) をしっかりと考慮し、良いシステムを導入しましょう。と、いうのが前回までの内容でした。

そこで、今回は導入に欠かせない用語としてもう一つ 「フィット&ギャップ分析」 についてお伝えすることにしましょう。

フィット&ギャップ分析とは?

フィット&ギャップ分析 とは、導入しようとするシステムと企業が求めている機能がどれだけマッチしているかを分析すること を言います。つまり、欲しいと思う機能がどれだけ提供されているか、または提供されていないのかを確認し把握することを指します。

フィット&ギャップ分析

ERPに限らず、企業はたくさんのシステムを導入します。例えば、従業員の情報を管理するための人事システムや、売上や支出を管理するための会計システムなどです。

これらのシステムは、先におさらいしたように投資され導入されるわけですが、システムを導入する ということは、「そのシステムで実現したいことがある」、ということです。システムはとても高い買い物ですから買ってみて思ったものと違った…などということはあってはいけません。そういったことを避けるために、行われるのが フィット&ギャップ分析 です。

よくあるシステム導入の失敗

企業はいったい「何」がしたくて、「どの」システムの機能が必要なのか を正しく理解する行為は、何をおいても優先されなければなりません。

企業が陥るシステム導入の失敗 の多くは、「このシステムを入れればなんとかなる」という、システムのブランドや機能を過信 する行為です。これは、私たちも同じことで「高いからおいしい」とか、「有名だからすごい」などといったところだけをフォーカスしてしまい、結果として「思ったよりイマイチ…」なんてことありますよね。

企業のシステム導入は、1日や2日で済むものではありませんし、数百万~千万円、場合によっては数億円という多額の費用が発生します。ですから、「うーん、イマイチ…」では済ませられません。
こうした失敗を防ぐために、まずは システムを導入するにあたり何がしたいのか をしっかりリストアップし、導入するシステムを選定することが必要です。

フィット&ギャップ分析の進め方 その1 ~したいことリストの作成~

フィット&ギャップ分析はいたってシンプルです。ただ、欲しい機能と提供される機能を比較 すれば良いのです。そのためにまず行うことが、フィット&ギャップ分析に欠かせないことは、どのような機能を欲しているかということの把握です。

企業が抱える問題と考える解決策

例えば、上記の図の例で言うと、抱えている問題がいくつかあるようです。その中でも、アナログな処理が多く煩雑であるため、新しいシステムを導入し自動化しようと考えているようです。また、システムがいくつか乱立することを懸念してか、統合管理も意識しているようです。

この様に、何が問題でどう解決したいのか、というように、この「したいことリスト」はより具体的で、かつ細分化 されていることが好ましいでしょう。

フィット&ギャップ分析の進め方 その2 ~したいことリストとシステム機能の照合~

次に導入予定のシステムが、「どのような機能を提供してくれているか」をリストアップと確認をします。これは、システム提供側の話しですから、システムを提供する企業の営業さんからしっかりと説明を受けてください。

このとき、できるだけ最初にリストアップした 「したいことリスト」に照らし合わせて確認 をしましょう。

考える解決策と導入したいシステムの機能の照合

この例では、提供される機能の一部がリストアップされてきました。そして、できた 二つのリストを照らし合わせ ていきます。そうすると、「したいこと」と「できること」がかみ合うところ(フィット)と合わないところ(ギャップ) が見えてきました。

この例では、とりあえずは、機能として求めていたことを実現する機能は、概ね提供されていますので、だいぶフィットしたシステムであるといえるでしょう。

ただし、いくつかの ギャップ も見えてきました。企業はシステムの統合管理をしたいと考えているようですが、今回導入を考えているシステムは他のシステムからデータをもらう事はできても、このシステムで他のシステムデータを操作することはできなさそうです。これは、求めていたものとは違う機能 ですから、明らかに ギャップ と言えます。

この様に、導入を考えるシステムが 「求めているシステム」 であるかどうかを評価するための分析手法が、フィット&ギャップ分析 です。飽くまでも分析ですから、この情報を元にシステムの選定をすることになり、ギャップが許容できるか否かを判断 します。このシステム、導入しても良さそうでしょうか?(情報が少ないので、これだけでは判断できませんね!)

ギャップの解消

フィット&ギャップ分析をすることで、導入するシステムを正しく選定することができるわけですが、どんなシステムにも必ずギャップは生じる ものです。ここで注目したいのは、ギャップを埋める方法がどれだけ提供されているか、ということです。

どのようなシステムにも必ずギャップは発生しますし、そのギャップは少なければ少ないほど良いわけですが、ゼロにすることはできません。それは、システムを提供する側も理解をしていますから、必ず何かしらの 拡張機能 が提供されているはずです。

そこで、その 拡張機能でギャップを埋めることができるか を考慮します。この拡張機能でどれだけギャップを埋められるかは非常に重要なポイントになります。

例えば、今回のシステムではユーザ管理を一元化したいという目的がありました。しかし、導入を検討しているシステムにはユーザの一元管理機能はありませんでした。つまりギャップがありました。
しかし、このシステムは他のユーザ管理システムのユーザ情報を利用することができる、ということでしたので、その機能を使うことを検討してみましょう。

この様な形になります。今回のシステムを導入することで一元管理ができるようになるわけではありませんが、例えば ディレクトリサービス などを利用していたとするならば、そのシステムからユーザ情報をもらうことで、ユーザ情報はディレクトリサービスで一元管理されることになります。もちろん、既にディレクトリサービスを利用していれば、という前提は多少ありますし、場合によっては追加でディレクトリサービスの導入も考えられるかもしれません。

他にも、システムの機能に合わせて、自社のビジネスプロセスを合わせる ことでギャップを埋める方法もあります。

この様に、そのシステムが元から持つ機能だけでフィット&ギャップ分析をするのではなく、他の機能を利用 することや、ビジネスプロセスを変更 することでギャップを克服できるかどうか、もあわせて考慮することが必要です。

フィット&ギャップ分析の活用

フィット&ギャップ分析、いかがでしたでしょうか。なにげなくしているようで、できていないケースが非常に多くあります。そして、この分析をしっかりとおこなっておかなければ、ギャップを解消するための違うシステムを追加で導入する…なんてことも起きかねません。

この分析手法は、皆さんの日常の中でも十分に活用できますので、小さなものから大きなものまで購入する予定がある方は是非試してみてくださいね。業務に役立つかもしれません。

次回は、このギャップの解消についてご紹介をしたいと思います。

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