ERPシステム導入術 ~ギャップの解消編~

ERPシステム導入術 ~ギャップの解消編~

これまでのコラムでは、ERPの目的から導入に対する考え方などをご紹介しました。今回は、導入する際の手順について、少し触れてみましょう。 ※本コラムでは、製品や導入規模については一切言及いたしません。

前回のおさらい

前回の記事はこちら

さて、今までいくつかのコラムで ERP について紹介をしてきました。その中で、ERPは企業にとって、とても大きな恩恵をもたらすシステムであると共に、多くのコストを消費して導入されるシステムであるということが分かりました。そして、そのERPシステムの恩恵を最大限に受けるためには、導入前の精査が重要であるということも紹介してきました。

しかし、ここまで分かっていても システムの導入が進まない ケースがあります。それは、システム自体がその会社のためだけのために作られたものではないから です。

以前掲載した「フィット&ギャップ分析編」 でも少し触れていますが、導入しようとするシステムには、多かれ少なかれ、機能面でのギャップ が必ず発生します。そのギャップが業務とシステムの間にズレを生じさせてしまい、運用していく中で最終的にはシステムが足かせになってしまうケースがあります。

そのような事態を避けるためにも、フィット&ギャップ分析 は重要であると、前回紹介してきたわけですが、今回は、ギャップの解消 について触れていくことにしましょう。

パラメータによるシステムの準備

ギャップを埋める話をする前に、少し “ギャップ” というものについて触れておきましょう。システムは、さまざまな企業に導入されることが前提で開発されるため、内部に 多数のパラメータ が存在します。

パラメータの調整 とは、事前に提供されている機能に対する設定項目を調整することで、システムの挙動を自社に合ったものにする ための手法です。

以前のコラムでも紹介したとおり、システムはオーダーメイドではないため、企業にとっても完璧なものは存在しません。しかし、それはシステムを提供する側も、全ての導入企業に対し、100%要望を網羅したシステムでないことも分かっています。ですから、提供側は事前に企業に則した形でシステムが調整できるように数々のパラメータを用意 しています。

このパラメータを調整し、システムの動きを企業が求めるものに変えていく のがパラメータ調整の手法です。

例えば、自社製品の扱い方や単位、認証プロセスの流れ、営業日の情報など、どの企業でも必要な情報、かつ企業ごとに情報が違う、こういった設定をパラメータに対して施します。

パラメータはかなりの数が用意されているシステムが多く、これらを細かく設定していくことによって、より企業が想定した動きに近づけていくことができます。パラメータの使用は、導入コスト(主に時間)を削減 することができ、システム導入の観点において、どれだけのパラメータが提供されているか、というのは非常に大きな関心事です。

しかし、このパラメータ調整は、当たり前ですが 調整用の項目が用意されていないとできない というのが欠点です。結果として、システムで事前に用意/想定された範囲のことしかできない、ということに代わりありません。

では、企業独自のプロセスなど、システムに存在しない機能を実現したい、つまり ギャップが発生した場合 はどうすればいいのでしょうか。

ギャップを解消するための手法

では、本題に入りましょう。
まず、ギャップを埋める手段として、このコラムでは大きく2つのカテゴリに分けることにします。

  • アドオン
  • システム連携

※冒頭でも注釈を入れていますが、導入する製品や規模に応じて最適な手段が異なりますのでご注意ください。また、用語についてもベンダや製品によって異なる場合があります。

この2つは、主にギャップの規模に合わせて手段を分けることになります。

アドオンによるギャップの解消

アドオン は、システムに存在しない 機能/ロジックを、新規開発を行い追加 することで、ギャップを埋める手法です。

パラメータ調整では、事前に用意されたテンプレートの範囲内 でしか調整ができませんでした。ですから、システム提供側が予期できないような独自の業務プロセスが存在すると、そのシステムでは対応することが難しくなります。

その場合、アドオン を用いることがあります。アドオンの場合は、ロジック(機能)を新しく作り埋め込む 方法になるため、企業独自のプロセスであろうと実現することが可能になります。むしろ、思ったシステム、機能が思いのままに構築できるわけです。

ただし、それだけの 開発者とコスト があれば、の話です。そう、アドオンは コストが非常にかかる ことが欠点なのです。
望む機能を望むままに実装できる手段ではあることに変わりはありませんが、言わば一から構築することを意味するアドオンは、人員も時間もお金も、実装したい機能に比例して膨れ上がっていきます。ですから、大きなギャップを埋める方法としてはあまり得策ではないともいえます。

また、アドオンには、既存の機能との兼ね合いによって 矛盾 が生じ、システムアップデートによる障害が発生する というケースも多くはありません。

アドオンは、ギャップを埋めるための一番の特効薬ではありますが、それだけ副作用も大きいということです。

システム連携によるギャップの解消

システム連携 は、その システムでは提供されない機能を、別のシステムで補う ことでギャップを埋める手法です。

システムは万能ではありませんから、時にはアドオンであっても対応しきれないほどの要望が出てくるかもしれません。そういう時は、別のシステムを利用 することで、そのギャップを埋めることだってできます。エンタープライズ系のシステムは、そういった他のシステムと協力することも、想定の範囲内ですのでシステム連携を行うための コネクタ(インタフェース) も豊富に取り揃えています。 

システムには向き不向きがありますから、なんでもひとつのシステムに押し込みすぎないように適度に使い分けることも考慮しましょう。

ただし、システムの乱立は TCOの増加 に拍車を掛けることになりますのでほどほどにしたいところです。

良い方法が見つからないときは…

ここまで、ギャップを埋める方法として、2つの手法を紹介しました。ギャップの規模などにはよりますが、適切にギャップを埋めてあげることで、コストをかけずによりフィットしたシステムを入手することができます。

その、何が適切なのか、を見極めるためにも、事前のフィット&ギャップ分析 は非常に重要でありまた、その システムの拡張性を調べる ことは非常に重要です。

その中で、今回ご紹介した2つの方法でも、コストや期間、柔軟性やメンテナンス性を鑑みると難しいことはあるかもしれません。そういう時は、システムにあわせて業務を改善する、という手も考慮しましょう。今あるプロセスが最善とは限りません。プロセスにシステムを合わせる、ではなく、システムにプロセスをあわせる、ということも大いに活用していきましょう。

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