ITインフラシステムの可用性を高める、様々な仕組みについて

ITインフラシステムの可用性を高める、様々な仕組みについて

2016.08.17

ITインフラシステムが停止することなく継続して稼働するために、インフラシステムの各レイヤーには様々な技術が組み込まれています。今回はその中からいくつかを紹介いたします。

まずはサーバレイヤーから

このレイヤーでまず、最初に思いつくのは、やはり 『クラスター構成』 ですね。クラスターとは葡萄の房は弦で繋がっている様に、サーバとサーバが何らかのインターフェースで複数台が並列接続された状態 をさしています。一台のサーバが停止しても、そのサーバ上で動いているサービスを停止させることなく別なサーバでそのサービスが引き継がれることで可用性が担保されています。

この場合、各サーバには クラスターソフトウエアー がインストールされていることや、ハードウエアー障害を検知する仕組み を持たせる必要があります。

障害検知 として一般的なものでは 『Heart Beat』 と呼ばれるものがあります。これは各サーバにあるノード・マネージメント・ネットワークポート間を接続し、そのポートに対して死活監視のパケットを周期的に送信し応答がない場合は相手側が停止していると判断するものです。

クラスターシステムを運用管理面でみると、複数台のサーバが接続されていても、1つのエンティティーとして管理することができます。また構成によっては、複数台が同時に並列稼動しているものや(アクティブーアクティブ構成)、1台だけが稼働しそれ以外は待機しているもの(アクティブースタンバイ構成)などがあり、それらはアプリケーションの切り替え時の要求事項に応じた構成を検討する必要があります。

引用:http://image.itmedia.co.jp/tt/news/1404/07/tt_aa_ha02.jpg

また 可用性を高めるため に、システム構築時に注意しなければならない点は『単一障害点』をなくし、すべての機器が冗長化されていること です。また機器毎の 平均稼働時間や平均修復時間等の数値を考慮した上で構築をする必要があります。

次に、ネットワークレイヤーでは?

このレイヤーでも数多くの冗長化の仕組みがあります。まず基本的なところでは『NIC チーミングやボンディング』が挙げられます。これはネットワークポートを束ねて論理的に1つのポートとして使用 することができます。
設定方法によっては、耐障害性を高めるもの、またネットワークポートの使用帯域幅を増やすことが可能となります。

また『スタック』はスタックケーブルを使って複数台を束ねて1つのスイッチとして扱うことができます。スタックされたスイッチ間でリンクアグリゲーションを構成することで、物理スイッチ障害によるネットワーク通信断を防ぐことができます。

『VRRP=Virtual Router Redundancy Protocol』を用いることで デフォルトゲートウエーの冗長化が可能 となります。
下図の様に2台の物理ルータを仮想化して1台に見せ、ホスト側のデフォルトゲートウエイーアドレスを物理IPではなく仮想IPで設定することで、R1マスタールータが障害でダウンしたしとしても、設定を変更することなくR2バックアップルータを経由して転送することが可能となります。

 

VRRP

 

ストレージレイヤーでは?

データの格納場所として重要な役割を担っていることから、このレイヤーでも数多くの仕組みが提供されています。物理的には従来からある『RAID=Redundant Array of Independent Disks』があります。RAIDレベルにはいくつか種類があり、よく使用されているのはものでは RAID5、6、10 などがあげられます。

これらは全てデータ保護を目的としており、各社ストレージ専門ベンダー毎で標準のRAIDタイプを選択し機器の中で実装されています。またストレージ専用OSを実装した製品が多数あり、それぞれのOSの中で様々な可用性を保つ機能を持っています。

たとえば、あるストレージ製品では、データアクセスに必要なIPアドレスは仮想ネットワークインターフェースに対して割り振ることで、そのベースとなる物理ポートで障害が発生した場合には、自動的に仮想ネットワークインターフェースをフェイルオーバさせる機能があります。その際にもオリジナルのIPアドレスを変更することなくその値を引き継いで移動させることができるため、再マウントをする必要がありません。 またデータボリューム自体をクラスター化されたストレージノード内を自由に移動させる機能もあります。

RAID10(Mirror+Stripe)

 

最後に

今回、記載したものは、ITインフラシステムに組み込まれている技術のほんの一部分でしかありません。事業の継続性が求められITインフラはより複雑化しています。また仮想化やクラウド化が進んだことで、可用性・拡張性・信頼性 など求められる要求事項はますます高度なものに なってきています。今後もそれらの要求を満たすための新たな製品や技術が開発され、完全無停止システムがやがて登場するでしょう。

記事は、予告なく変更または削除される場合があります。
記載された情報は、執筆・公開された時点のものであり、予告なく変更されている場合があります。
また、社名、製品名、サービス名などは、各社の商標または登録商標の場合があります。