ここがスゴイよ!日本の帳票

ここがスゴイよ!日本の帳票

ERP導入支援をエンドユーザサポートという観点から行った際のお話です。 同じERPから出力するのに、日本と海外では得意先に渡す帳票がこんなに違うの!? その理由を考えてみました。

「神対応」

「神対応」
この言葉の意味をみなさんご存じでしょうか。

以前、テレビで使っているのを見たのですが、企業や個人が素晴らしい対応をした時 に 「神対応」 と言うそうです。素晴らしすぎる=神 という理解でよろしいでしょうか。

この 「神対応」 もそうですが、従来から日本企業の顧客に対するサービス精神のあり方などは海外の国々からも評価されており、また「お客様は神様です」という表現が存在したりと、日本の優良企業はあるべき姿として、とにかく顧客に対しては最善をつくすことが大切であり、美徳であるというイメージがあるのではないでしょうか。

今回のテーマはそんな日本の企業がERP導入時に、得意先に提出する帳票についてはどう対応しているのか、またその根幹には日本と海外で 帳票文化に違いがある というお話しです。

 

ERPパッケージ導入時の帳票について

ERP導入支援の際、海外のERPパッケージシステムに切り替わると帳票も変わるという説明をユーザにしました。以前のコラム でも触れましたが、既存のシステムからERPに切り替わることでユーザが不安に思う大きな要因として操作性やこの帳票フォームの変更などが挙げられます。システムが変わると帳票も変わることになります。

帳票といっても ERP各分野で帳票があります。例えば得意先に提出する納品書や請求書、仕入先に発注する注文書、工場で扱う製造表や試験表など数多く存在します。そして各部門の中で、やはり一番気にしているのは得意先に帳票を出力する営業部門のユーザでした。「新しいERPに切り替わると今までの帳票が出せなくなる?得意先に説明しなくてはいけない?こちらの都合でフォーマットが変わるなんてありえません!今までと同じフォームで出すよう対応して下さい!!」と営業の方から頂いたとき、前述の「お客様は神様です」というフレーズが浮かびました。営業担当の方はとにかく 得意先のマイナスになることは受け付けられないという姿勢 です。

もちろん得意先との関係を大切にするその気持ちは本物でしょう。しかし裏には「得意先の担当者に説明しづらいなぁ、何とか頼むよ、、、」という気持ちも透けて見えた気がします。私も営業担当の方と同じ立場だったらそう言いたくなるかもしれません。

現在、日本の多くの企業が海外のERPパッケージを導入する場合には 別途帳票システムを用意して連携されることがほとんど です。これは海外ERPパッケージの持つ標準フォームおよびフォーム作成機能が、あるにはあるのですが、日本の企業が要求するレベルの複雑な帳票を実現しようとすると、無理にERP付属の機能を使ってフォームを開発するよりも専用に設計された 帳票システムで作ったほうがコストや機能面で有利 になることが多いからです。

しかし、なぜ日本の帳票は海外に比べて複雑なのでしょうか。

 

日本と海外の帳票文化の違い

日本企業が海外のERPパッケージ導入の障壁としてよく挙げられる日本独自の商習慣ですが、帳票の文化についても 日本の独自色 があるような気がしました。

というのも、私が担当したERP導入企業は、先行して海外諸国にも同じERPパッケージを導入していましたが、10か国近くあったにも関わらず、そのERPパッケージの持っている帳票フォームをそのままとは言いませんが、国別にある程度レイアウトを変えて使っていたからです。

帳票出力時にERPデータが正しく表示されないなどのトラブルはいくつかあったようですが、海外のユーザからは事前に用意した帳票フォームについての不満などはほとんど聞こえませんでした。

ちょっと言い過ぎかもしれませんが、極端な話、海外の導入企業では得意先に対する説明として、「自社の ERPシステムが変わったので帳票もこう変わりました」で済んでしまう ようです。発注する側の得意先も、そこまで帳票のフォームについてあれこれ指示したりはしていないと想像できます。必要な情報が揃っていればいい、という感覚でしょうか。

しかし、日本の企業の場合そうではなく、帳票については得意先もこだわりがあり、海外ERPに変わったからといって既存の帳票が大きく変わることは許容しがたいのが現状です。

このような帳票に対するこだわりの背景には、諸説ありますが 欧米はアルファベットの文字を組み合わせて表現 するため、タイプライター入力での帳票出力などがいち早く進み、簡素なレイアウトが多い のに対し、日本では 扱う文字の種類が多く、タイプライターで対応するのが難しい ので手書きの帳票を重んじてきたことがそのまま現代にも残り、特に 罫線や囲みを使った複雑なレイアウトが求められる ようです。

日本と海外の帳票の違い

 

終わりに

このように、帳票に対する日本人の感覚といつもご贔屓にしてもらっている得意先に対する懇切丁寧な姿勢というのがあいまって、日本の帳票に関しては海外よりも要求されるレベルが高く、また得意先ごとにフォームを用意する指定納品書などが多く作られているのだと思います。帳票作成のロジックも複雑なものが多々ありました。

今回の導入企業でも、ERPデータを帳票システムに連携して出力する日本標準フォームと、さらに導入企業の中でも得意先の求めに応じて指定納品書をまた 別の帳票システムで用意するなどできる限りの配慮 をしていました。

得意先からすると当たり前に見えるかもしれませんが、日本の企業は販売する製品だけでなく、納品書や請求書などの帳票についても大きな労力を割いていると言えるでしょう。

このように、今回は国の文化や商習慣によって帳票1つとってもそれにかける情熱やコストが違うことに 企業のERPづくりの面白い側面 を見ました。皆さんも自分が普段扱っている帳票をじっくりと見てみて下さい。納品書や請求書などには日本人気質の細かな工夫・配慮や苦心が透けて見えるかもしれません。

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