売れるサービス、作りませんか?(1) ~デザイン思考で売れるサービスのアイディアを作り出す~

売れるサービス、作りませんか?(1) ~デザイン思考で売れるサービスのアイディアを作り出す~

世の中にあふれるサービス。いざ作る側に回った時、顧客の求めるサービスはどうやって生み出したらよいのでしょうか?今回は、アイディア発想術である「デザイン思考」をご紹介し、顧客に求められる、「売れるサービス」をつくり出すための発想術を、その手法とともにご紹介します。

「新しいサービスを作れ」と言われたら、まず何をしますか?

私たちは、普段の生活の中でありとあらゆるサービスを使用しています。多くのサービスを、みなさんは選んで使っているかと思いますが、どうやってそのサービスを選びますか?便利、価格が安い、デザインが好みに合う、などなど、それぞれによって選ぶポイントがあるのではないかと思います。

では、今度は逆の立場になってみましょう。会社で上司から、「何か新しいサービスを作れ」 と言われたとしましょう。その場合、まず何から考えますか?
ある人は、「自社の技術を最大限に生かしたサービスを作ろう」、またある人は「せっかく作るなら自分の好きなものや得意なものでできることを考えよう」と考えるでしょう。

でも、それって顧客目線で考えたときに、本当に必要でしょうか? 答えは…Noであることが多いです。特にIT企業にありがちですが、「技術」でできることから考えた結果、顧客が求めていないものが出来上がってしまったり、使いづらい(=ユーザビリティが低い)ものになってしまうことがあります。

また、そもそも「サービスを作るのに、何から考えていいかわかんない」「そんな新しいアイディアなんか思い浮かばないよ…」、そんな方も大勢いらっしゃるでしょう。

顧客に求められるサービスを作り出す「デザイン思考」

こういった悩みを解決し、「顧客が求めるサービスを作り出す」 ための考え方が、「デザイン思考」 呼ばれる思考法です。

「デザイン思考」(デザイン・シンキング、Design Thinking)は、デザインコンサルティングファーム「IDEO」 によって提唱された、アイディアを生み出すための思考法で、「人間の行動を中心に考え、ゼロから1を生み出す」方法を、その手順とともに紹介しています。

デザイン思考の「デザイン」という言葉は、日本では絵を描いたりするような、職業でいうとグラフィックデザイナーのような方の行うことを想像してしまいがちです。しかしながら、「デザイン」の本来の意味としては、「ゼロから何かを生み出すために、状況を整理し、設計して、わかりやすく可視化する」といった範囲までが含まれます。

IDEOでの会議の様子 引用元:http://www.borgenmagazine.com/human-centered-design-ideo-orgs-designkit/

デザイン思考の方法

このデザイン思考にはちゃんと、手順があります。書籍によって微妙に分け方が違うのですが、本記事では、下記の手順に沿って簡単にご紹介します。

デザイン思考の手順

  1. よく観察をし、共感する
  2. 問題が何なのか、本質を探る
  3. 解決策をたくさん生み出す
  4. とりあえずプロトタイプを作ってみて、早めに失敗する
  5. ユーザに使ってもらい、テストとフィードバックを繰り返す

一つ一つ、順を追ってご紹介をしましょう。

1. よく観察をし、共感する

「サービスを作る」そのときに、まず 「誰に対してのサービスなのか」 (=ターゲット)を定め、その ターゲットとなる「人たち」の行動をよく観察 し、そして その行動に共感 をします。「その人たちしている同じ動きはないか」「不自由そうにしていることはないか」「必ず一緒に利用しているものはないか」といったところを見て、その「人たち」にとって「あったらいいな」と思えるものを考えます。
この時に、必ず 「人」を中心に観察 をしてみるようにしましょう。

2. 問題が何なのか、本質を探る

観察して発見したことを、まずは書き出してみて、整理し、問題がいったい何なのか を特定します。その時にも、視点を変えてみたり、「なぜ?」を繰り返して深堀りしてみることで、問題の本質をとらえるようにします。

これにも、KJ法 といった、問題点を書き出して付箋に貼りグルーピングする方法や、ストーリーマッピング といった、ユーザーの一連の行動のストーリーに沿って問題点を可視化していく方法など、さまざまな手法があります。

3.  解決策をたくさん生み出す

そして、それを解決するための案を 「とにかくたくさん」 生み出します。

このたくさん、というのがポイントで、本当にサービス化できるアイディアは、何百と考えても、そのうちのわずか一部です。また、「アイディアは既存の要素の組み合わせ」(J.W.ヤング) という言葉があるように、たくさん生み出すことによって、サービスになるアイディアが見つかったり、また、単体では解決策となりえないものも、組み合わせることによってイノベーションを生み出せる ようなサービスにもなり得るのです。

このときに大事にしたい考え方が 「名詞でなく動詞で考える」 ということ。例えば、「寒い季節を乗り切るための『服』」 を考えるのではなく、「寒い季節に『暖かくなる』ための方法」 を考えるといった形。
『服』 というように名詞で考えていると、浮かぶアイディアはせいぜい保温性に優れたコートやジャケットになるでしょう。しかし、『暖かくなる』 というように動詞で考えると、「暖かくなるための服」「暖かくなるための湯たんぽ」「身体の中から暖かくなるための食べ物」など、より「人の行動」に即した、「人」が求める解決策 を考えやすくなります。

こうして解決策を生み出していくときによく使われる代表的な手法が 「ブレインストーミング」 と呼ばれるものです。このブレインストーミングにもいろいろと手法があるので、興味のある方はぜひ書籍等を参照してみてください。

4. とりあえずプロトタイプを作ってみて、早めに失敗する

ブレインストーミングなどで、「よし、これだ!」 と思えるサービスの案が見つかったら、とりあえず すぐにプロトタイプを作ってみる ということをしてみましょう。粗々でも簡単でも構わないので、まずは全体像を作り、実際にそれを使ってみます。そうすると、作っている最中に疑問に思う点が出てきたり、出来上がったものを使う際に「こんなはずじゃない」という点にぶち当たることが多々あります。

でも、こうして 「早めに失敗する」 ことによって、何度も何度も改良・改善を重ね、サービスの形がはっきりと、かつ、より現実的にまとまってきます。

5. ユーザに使ってもらい、テストとフィードバックを繰り返す

こうして固まってきたサービスを、今度は実際に市場に送り出すためのサービス化をしていく前に、実際にユーザに使ってもらい、フィードバック をもらいます。「顧客目線」で考えたつもりでも、やはりプロトタイプを作りながら、少しずつ方向性がずれてしまうこともしばしば。率直な意見をもらい、それをもとに改善を繰り返していくことで、「売れるサービス」 へと育っていくのです。

まずはやってみましょう!

このやり方、使えるかも?…そう思った方、ぜひまずはやってみましょう。

特に「解決策を『たくさん』作り出す」 「とりあえずプロトタイプを作ってみて、早めに失敗する」 ということは、普段なかなかできていない方もいらっしゃるのかもしれません。もちろん時間のかかることですが、山登りのように寄り道をしながら、取り組むことで「これだ!」というアイディアにきっと出会えるはずです。

「デザイン思考」関連書籍

  • 「発想する会社!」 / トム・ケリー
    • IDEO のゼネラルマネジャーであるトムケリーによる著書。実際にデザイン思考で商品化がされた例も、豊富なカラー写真と共に紹介されています。ブレインストーミングの手法についても紹介されています。
  • 「イノベーションの達人!」 / トム・ケリー
    • 同じくトム・ケリーによる著書で、イノベーションを実現するための「人材像」が紹介されています。
  • 「デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方」 / ティム・ブラウン
    • IDEO のCEO であるティム・ブラウン氏による著書。デザイン思考がどうやって生まれたのか、どんな考え方なのかを知ることができます。冒頭に本の内容がまとまったマインドマップがあり、非常に読みやすいです。
  • 超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す / 中野 明 ←おすすめ
    • 図をまじえながら、デザイン思考の考え方や手法、そしてその他のビジネス書で紹介されているような経営論とのつながりもわかりやすく紹介されています。非常に読みやすく、おすすめです。

「デザイン思考」関連 Webサイト

  •  IDEO
    • デザインコンサルティングファームIDEOのWebサイト。
  • 一般財団法人デザイン思考研究所
    • デザイン思考に関する無料PDF資料のダウンロードができます。デザイン思考を実践するためのセミナーやトレーニングも開催されています。

記事は、予告なく変更または削除される場合があります。
記載された情報は、執筆・公開された時点のものであり、予告なく変更されている場合があります。
また、社名、製品名、サービス名などは、各社の商標または登録商標の場合があります。