経営分析をしてみよう! ~その4 生産性分析~

経営分析をしてみよう! ~その4 生産性分析~

中小企業白書(2016年版)によると、「今後、さらなる人口減少が見込まれる中、引き続き経済の好循環を維持し、持続的な成長路線をたどっていくためには、企業一社一社の生産性を高め、国内企業の収益力を向上させることが重要である。」とあります。 今回は、従業員1人あたりの生産性のお話です。

はじめに

前回は、「収益性分析」 についてご紹介しました。

収益性分析 は、企業の財務諸表のデータを用いて、その企業がどれほどの利益を獲得しているかを分析するものです。企業が提供する商品またはサービスの競争力、販売活動、財務活動を含めた、企業の総合的な収益力を判定する根拠になります。(Wikipedeaより引用)

よく使われる収益性分析には、以下のような指標がありました。

企業の利益を獲得する力を測定

収益性分析の指標としては、一般には損益計算書上の利益の額を売上高で除した 売上高利益率 を用います。この値が大きいほど収益性は高いといえます。

売上高利益率の例

  • 売上高総利益率
  • 売上高営業利益率
  • 売上高経常利益率

資産・資本からの収益力をあらわす指標

ROA や ROE は、企業の資産や資本を使ってどのくらい利益を上げているかをみる指標です。企業経営全体の実力をみることができます。

企業資産の利用効率を表す指標

  • 総資産回転率
  • 売上債権回転率

その他

  • 自己資本回転率 = 売上高 ÷ 自己資本
  • 株主資本回転率 = 売上高 ÷ 株主資本
  • 経営資本回転率 = 売上高 ÷ 経営資本
  • 有形固定資産回転率 = 売上高 ÷ 有形固定資産
  • 棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 棚卸資産
  • 固定負債回転率 = 売上高 ÷ 固定負債

今回は、生産性分析 についてご紹介します。

生産性分析とは

「生産性(Productivity)」 とは、投入量と産出量の比率 をいいます。投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高いことになります。

投入量 としては、労働、資本、土地、原料、燃料、機械設備、などの生産諸要素が挙げられます。産出量 としては、生産量、生産額、売上高、付加価値、GDP などがあります。因みに、OECD では生産性を 「産出物を生産諸要素の一つによって割った商である」 と定義しています。 通常、生産性というと、労働を投入量として測った生産性である、労働者1人1時間あたりの生産性=「労働生産性(Labour Productivity)」 を指すのが一般的です。

((財)日本生産性本部ホームページより引用)

生産性分析とは、財務分析の方法の一つで、経営資源(「ヒト」「モノ」「カネ」)をいかに効率的に使用して付加価値を生み出したかを分析 します。

そこで、「従業員1人あたり」、「機械、設備1単位あたり」、「投入資金の1円あたり」で生産性を分析していきますが、今回は「従業員1人あたり」で使用する計算式をご紹介します。

付加価値とは

さきほど、「生産性分析とは、財務分析の方法の一つで、経営資源(「ヒト」「モノ」「カネ」)をいかに効率的に使用して付加価値を生み出したかを分析します」と書きましたが、付加価値とはなんでしょうか。

付加価値 とは、企業が生産によって生み出した価値 をさします。付加価値の代表的な計算方法には、「控除法」 と 「加算法」 があります。計算式には、「中小企業庁方式」や「日銀方式」や「各業界団体」など独自の計算式が複数存在します。これら計算式の中には、財務諸表だけではわからない金額も使用されていたりします。

生産性分析を実施して競合他社と比較可能にするため、今回は付加価値のかわりに財務諸表から取得可能な、「売上高」 や 「利益」 を使用した計算式をご紹介します。

従業員1人あたりの生産性(P/L分析)

従業員1人あたり売上高

従業員1人あたり売上高 = 売上高 ÷ 従業員数
売上高は伸びているのに、「従業員1人あたり売上高」が下がっていると、生産性が下がっている可能性があります。「従業員1人あたり売上高」が競合他社よりも高いと、企業として競争力があり、かつ、生産性を上げる努力の結果と見ることもできます。
ただし、適正な利益を確保した上での売上増でないと意味がありませんので、「従業員1人あたり利益」も一緒に確認します。

従業員1人あたり営業利益

従業員1人あたり営業利益 = 営業利益 ÷ 従業員数
営業利益とは、企業が本業で稼いだ利益です。営業利益は伸びているのに、「従業員1人あたり営業利益」が下がっていると、生産性が下がっている可能性があります。競合他社や業界平均と比較したり、過去の実績と比較します。

従業員1人あたり経常利益

従業員1人あたり経常利益 = 経常利益 ÷ 従業員数
経常利益とは、企業が通常の経済活動で稼いだ利益です。経常利益は伸びているのに、「従業員1人あたり経常利益」が下がっていると、生産性が下がっている可能性があります。「従業員1人あたり経常利益」を比較することで、会社の規模に関係なく競合他社や業界平均と比較できます。過去の実績とも比較します。

まとめ・比較する際の注意点

今回は、「売上高」や「利益」を使用して「従業員1人あたり」の生産性をみる計算式をご紹介しました。

他社と比較する際の注意点としては、他業種との比較は、売上高の高い業種もあれば低い業種もあります。また、利益も高い業種もあれば低い業種もありますのであまり意味はありません。比較する場合は 同じ業界の競合他社や業界平均、または過去の実績と比較 しましょう。

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