研修から始める人財育成 ~疑似経験の場としての研修活用~

研修から始める人財育成 ~疑似経験の場としての研修活用~

2017.08.09

「育てること」「育てられること」を身近な人やコトから考えてみませんか。個人が現場の実体験から学ぶ機会が減りつつある今、研修を良質な疑似体験の場ととらえた人財育成について紹介します。

「人を育てる」とはどういうこと?

人財育成が重要であることは、改めて言うまでもありませんが、いざ自社・自組織に置き換えて考えてみると、悩みを抱えていらっしゃる育成担当の方も多いのではないでしょうか。

そもそも、「人を育てる」とはどういうことなのでしょう。

たとえば、プログラミングについて質問されれば、わからない部分を教えることはできます。お客様への提案書について相談されれば、レビューしたり改善点をアドバイスしたりすることもできます。でもそれは、その人の仕事ができているかを確認し、指導しているということであって、「育てている」という感覚とは少し違うような気がします。

育てられた記憶

では、逆に「育てられた経験」を自分なりにかなり遠く振り返ると、「育ててくれた」という記憶と共に思い出す上司・先輩方は、決して何かを直接的に教えてくれた方ばかりではないように思えます。言葉にするのは難しいのですが、私の場合はこんな感じです。

  • 「はっと息をのむほどの衝撃を受けた」、「挑戦する経験や機会を与えてくれた」、「自分が変わるきっかけをくれた」
  • しばらく経ってから「あの時の意味はこういうことだったのだ」と深く納得するような経験
  • ただ経験するだけでなく、そこから何か自分なりの教訓を得て新しいことに応用できたとき

ずいぶんのんびりした話です。人を育てることを急ぎすぎない時代だったともいえるかもしれませんね。

これまでは、上司や先輩方の背中を見て学ぶ、とか、類似プロジェクトに複数回入ることで経験から学ぶといった時間的余裕があったように思えます。でも、現在ではそういったことが(偶然も含めて)起こりにくくなってきているのではないでしょうか。個人が現場の一次情報に接する機会が減り、経験やノウハウを伝えることが難しくなってきていると感じます。

現在のITエンジニアを取り巻く状況は、従来とは比べようがないほど急速に変化しており、「ITエンジニア」と、ひとくくりにできないほど多様化しています。当然ながら、求められる役割やスキルも変化しつつある中、育成においても以前とは異なる多様な考え方、多様な手段が求められているのではないかと思います。

研修への過度な期待

ところで、育成の具体的な手段としてよく挙げられるのは「研修」ですが、残念ながら不人気な手段の代表格とも言えます。

  • 研修なんて役に立たない
  • 研修は暇な人が参加するものではないか
  • 勉強になった、いつか役に立つと思うがそれは今日明日ではない

などなど、残念ながら否定的な意見もよく伺います。でもそれは期待の裏返しかもしれません。研修が役に立たないと思われてしまう理由は、そこで扱う内容や進め方が日々の業務に必要とされる実務や求められる人材像とうまく結び付いていないからではないでしょうか。

研修はあくまでも支援する手段であり、人財育成という活動における主体は受講者です。

研修で学んだことが実務と離れていたり、研修に参加することが周囲に認められないような状況であったりすれば、どんなに良い内容であっても、効果的な研修にはなり得ません。

「役に立たない」と思われがちな研修を、「役に立つ」ようにするためには、日常業務との関わり、継続的な周囲の関与、変容の定期的な確認などの部分をどのように支援するかを、事前に明確にすること(設計)が重要です。

これは、研修提供者をはじめとして、人財育成に関わるすべての人に必要な考えだと思います。

研修を質の良い疑似経験の場に

もしも「営業力をつけて売り上げを上げたい、なにかいい研修ありますか?」と尋ねられたなら、「そんな魔法のような研修はありません」と答えざるを得ません。でも、目的を明確にしてあるべき姿をラフにでも描き、「営業力とは何か」「営業力を構成している要素はなにか」など、テーマを分解して、仮説を立てて研修の中に組み込むことはできます。

成人の学びの70%は、「直接経験」から得られる、と言います。(松尾睦 著「経験学習入門」)

だとしたら、いかに効果的に質の良い疑似経験をさせるか、が研修を提供する側の腕の見せ所ということです。

いい研修がないからやらない、のではなく、やれば課題が見えてくるという発想で取り組むことで、育成の糸口が見えてくることがあります。研修のもつ力を見直し、あらためて再設計してみることが必要ではないでしょうか。

研修をきっかけに育成の取り組みへ

人財育成に取り組むといっても、漠然としてどこから始めてよいかわからない。そんな時は、身近にある研修の内容ややり方(事前のアナウンス方法や、受講対象者の選抜の仕組み)を変えてみることで、一歩踏み出すことができるのではないでしょうか。

あるお客様が、研修をきっかけに人財育成の取り組みを変化させた例をご紹介します。

お客様からの課題に応えてゼロからオリジナル研修を開発していくうちに、当初の研修提供型から、上司のマネジメント行為や現場の巻き込み方、フォローアップまで含めてご提案する、人財育成の取り組みをお手伝いするようになりました。この研修は、丁寧にカリキュラム化し丁寧にカスタマイズして、今では何年もリピートいただいている定番的な研修となっています。

受講者層やマネジメント層の方へもインタビューを行い、時間をかけ地道にコミュニケーションを重ねていく必要があるため、少々非効率に見えるかもしれません。でも、急ごしらえの簡単な工法で建造した建築物が長持ちしないように、人財育成にも手間をかけるべきプロセスが確実に存在します。

「こんなことできない?」といったご相談があれば、ぜひお声がけください。お客様の人財育成の、頼れるパートナーとして立候補したいと私たちは考えています。

関連リンク

JTPの人財育成
https://edu.jtp.co.jp/

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