経営分析をしてみよう! ~その5 安全性分析~

経営分析をしてみよう! ~その5 安全性分析~

2016年(平成28年)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,446件、負債総額が2兆61億1,900万円だった。倒産件数は、前年比4.1%減(366件減)。8年連続で前年を下回った(東京商工リサーチより引用)。今回は倒産の危険性をみる、安全性分析についてご紹介します。

はじめに

前回は、「生産性分析」についてご紹介しました。
生産性分析とは、財務分析の方法の一つで、経営資源(「ヒト」「モノ」「カネ」)をいかに効率的に使用して付加価値を生み出したかを分析します。そこで、「従業員1人あたり」、「機械、設備1単位あたり」、「投入資金の1円あたり」で生産性を分析していきますが、前回は「従業員1人あたり」で使用する計算式をご紹介しました。

(前回のおさらい)生産性分析の求め方

  • 従業員1人あたり売上高
    従業員1人あたり売上高 = 売上高 ÷ 従業員数
  • 従業員1人あたり営業利益
    従業員1人あたり営業利益 = 営業利益 ÷ 従業員数
  • 従業員1人あたり経常利益
    従業員1人あたり経常利益 = 経常利益 ÷ 従業員数

今回は、安全性分析についてご紹介します。

安全性分析 – 企業の財務上の支払能力を測定

安全性分析とは、財務分析の方法の一つであって、企業の財務上の支払能力を測定するものである。企業が事業活動を継続してゆくためには、収益性の向上のみでは足りず、個々の債務の支払時点において支払能力を有することが欠かせない。安全性分析は、このような企業の財務上の支払能力を測定するものといえる(Wikipediaより引用)。

企業はなぜ倒産するのか?

企業にとっての安全性とは、倒産する危険度が少ないことを指します。

では、企業はなぜ倒産するのでしょうか。
ここ数年赤字が続いている企業でも倒産していない企業は存在します。逆に、利益がでているのに倒産する企業も存在します。倒産するかどうかは、実は手元にお金が残っているかどうか(支払うことができるかどうか)で決まるのです。

そこで、安全性分析は企業の財務上の支払能力を測定します。今回は、安全性分析のうちよく使われる指標をご紹介します。

安全性分析の指標 – 短期安全性の分析

企業の資金繰り(事業活動を行うために必要な資金が用意されているか)をみる指標です。

流動比率

流動比率 =( 流動資産 ÷ 流動負債 )×100

流動資産は、通常1年以内に現金化できる資産です。
流動負債は、1年以内に支払の期限が到来する債務です。
この2つを比較すれば、企業の短期的な支払能力(安全性)を判断することができます。

  • 流動資産 = 流動負債 ※流動比率が1
    1年以内に支払わなければならない負債に対し、それと同額を1年以内に現金化できる資産を持っているということになります。つまり、支払能力があります
  • 流動資産 < 流動負債 ※流動比率が1未満
    1年以内に支払わなければならない負債を借金しないと支払できません。借金ができなければ、支払不能で倒産することになります。

流動比率は200%以上が理想といわれていますが、一般的には120%~140%であれば健全とされています。

当座比率

当座比率 =( 当座資産 ÷ 流動負債 )×100

当座資産とは、現金および預金、売掛金、受取手形、市場で売却可能な有価証券など、流動資産の中でも相対的に換金が容易な資産です。
流動資産には、不良在庫が含まれる可能性があるため、流動比率よりも厳しい指標として分析するのが当座比率です。
当座比率は一般に100%以上であることが望ましいとされています。

貸借対照表のイメージ

安全性分析の指標 – 長期安全性の分析

現時点の資金繰りではなく、将来の倒産する危険性をみる指標です。

※純資産は、「自己資本+新株予約権 等」も含んでいますが、純資産の部の意味合いを考えると無視して考えたほうがわかりやすいので、本コラムでは 純資産=自己資本 として計算式を表示します。

自己資本比率

自己資本比率 =( 純資産 ÷ 総資本 )×100

総資本のうち返済の必要がない調達部分(=純資産)の割合を表します。
この割合が高いほど返済義務のない調達をしていることになるので、安定した経営ができます。
業種業界により判断基準がありますが、40%以上なら倒産しにくいといわれています。

固定長期適合率

固定長期適合率 =( 固定資産 ÷ ( 固定負債+純資産 ) )×100

固定資産に投資した資金のうち、短期的に返済の必要がない資金源でどれだけカバーしているかの割合を表します。
業種業界により判断基準がありますが、100%以下であればかなり安全といわれています。

固定比率

固定比率 =( 固定資産 ÷ 純資産 )×100

固定資産に投資した資金のうち、返済の必要がない純資産でどれだけカバーしているかの割合を表します。
固定長期適合率から固定負債を抜いて計算しますので、固定長期適合率よりも厳しい指標として分析するのが固定比率です。
業種業界により判断基準がありますが、100%以下であればかなり安全といわれています。

まとめ

今回は、企業が倒産する危険性を把握するのによく使用する安全性分析をみる計算式をご紹介しました。

5回にわたってご紹介してきました経営分析も、今回で最後になります。せっかく財務諸表をみるのであれば、「売上や利益が伸びている」という情報だけではなく、自分の会社など気になる企業をぜひ経営分析をしてみてください。新しい発見が得られるはずです。

記事は、予告なく変更または削除される場合があります。
記載された情報は、執筆・公開された時点のものであり、予告なく変更されている場合があります。
また、社名、製品名、サービス名などは、各社の商標または登録商標の場合があります。

この記事を読んだ人がよく読む記事