タレントマネジメントを使ってみよう!(2) ~ちょっと待って!システム導入前にすべきこと~

タレントマネジメントを使ってみよう!(2) ~ちょっと待って!システム導入前にすべきこと~

前回「タレントマネジメントを使ってみよう!(1) ~知っていますか?タレマネの定義~」では、そもそも「タレントマネジメント」って何だろう?といったことをご紹介しました。第2回の今回は、「ちょっと待って!システム導入前にすべきこと」です。ここでは、タレントマネジメントシステムを有効活用する為に、明確にすべきポイントについて考えてみたいと思います。

タレントマネジメントシステム導入前にすべきこと!

「タレントマネジメントシステム」で何をしたいのか?目的(ゴール)は明確に!

前回、「タレントマネジメント」の意味とその期待される効果について述べました。「なんか、良さそうな感じがする!」という期待値から、スグにでも「タレントマネジメントシステムを導入したい!」と考えている方がいましたら、「ちょっと待って!」その前にすべきことがあります。

「タレントマネジメントシステム」は単なるツールです。重要なのは、「このツールを使うこと」ではありません。

人財育成に関するデータが素材だとすると、タレントマネジメントシステムは多機能な収納スペースを持つ保管庫のようなものです。これらを使って何を?どうしたい?のか。まずはこのタレントマネジメントシステムを有効活用する為に、ぶれない目的(ゴール)を定めることから始めてください。

自社で「なぜタレントマネジメントシステムを使うのか?」を考える

タレントマネジメントシステムを使ってみようと思った要因は、それぞれだと思います。「イノベーターが育たない」、「経営者候補がいない」、「今後の業界をリードするようなスキルフルでユーティリティ性の高い社員が見当たらない」、「育成の効果が見受けられない」、「評価とポテンシャルがマッチしない」、「組織生成において適材適所の人員配置がうまくいかない」などなど。

埋もれた(隠れた)ポテンシャル人材を見つけたいのか、スペシャルな人材をスポットで育成したいのか、全体的な人材能力の底上げをしたいのか。最終目的はその全てだとしても、目的は絞って仕組みを構築したいものです。そして、その目的はより明確に、プロジェクトに携わる誰もが共通認識できるものである必要があります。

「タレントマネジメントシステム」を使う仕組みを構築する上で必要なこと

そこで、「タレントマネジメントシステムを使う仕組みを構築する」上で、基本的なポイントを掲げてみたいと思います。「システムを使う仕組み」とあえて表したのは、前項でも述べましたが「タレントマネジメントシステム」自体は、人材に関する多岐にわたる情報を関連付け保管し、多機能な表現にて取り出すことができる便利な保管庫のようなモノです。それをどう使うのか?が重要なのです。

持つべき5つの要素:分類性、時刻情報、正確性、関連性、比較性

保管される情報には、「分類性」「時刻情報」「正確性」「関連性」「比較性」という5つの要素を持っている必要があります。

人を分析するに足る情報は、様々なデータがあり、詳細であればあるほど、人材の多面的な分析が可能となります。しかしながら、分析するデータ要素が多くなればなるほど、分析に行き着くまでのデータの取り扱い自体が煩雑な作業となってしまいます。分析するデータが多すぎて運用が回らない!、そんな状況に陥ってしまっては元も子もありません。

そうならない為には、次の観点を満たす必要があります。

  • 収集する情報に「分類性」「時刻情報」「正確性」「関連性」「比較性」の5つの要素があるか
  • しっかりと保管する為の運用が可能か
  • 取り出した情報をどのように分析するか
  • 分析した結果をどのように使用するか
  • 収集したデータの網羅性の検証

「うわっ!面倒くさそう~」そう、はっきり言って面倒くさいです!ですが、事前準備を怠って、とりあえずやって、うまく回っているケースを私は見たことがありません。想像してみてください、大事な書類を考えなしにあっちこっちの引き出しに入れたものは、どこにあるのかわからなくなります。必要な情報は保管するときが大事なんですね。

「タレントマネジメントシステム使ってみた」実例

それでは、実例からどんなデータを収集・保管して、どんな場面で使っているか、実行していった手順に沿ってご紹介します。

①悩みと目的

上述の通り、一番大事な部分ですね。「ぶれない目的(ゴール)を定めること」です。

今回の実例では、次のようなものでした。

「最近、社員も増えて、プロジェクトも色々立ち上がっているけど、PJリーダーは同じメンバーばかり集めてしまい、経験値に偏りが出てるなぁ…属人的判断ではなく、論理的にメンバーを組めないか?」

つまり、属人的でない適切なプロジェクトメンバー配置が今回の目的ということになります。

②タレントマネジメントシステムの選択

目的が決まったところで、いざタレントマネジメントシステムを使おうとなるわけですが、「タレントマネジメントシステム」一つとっても非常にたくさんのツールが各社から発表されています。

それぞれに特徴的な機能や、運用方法、サービス体系があります。企業規模や利用目的によって選びたいですね。各サービスを比較しているサイトなどもありますので、ぜひ活用してみると良いと思います。

[参考]
タレントマネジメントの人事管理システム22選で有益な人材育成・活用にシフト!

③データの収集

次は、分析に必要なデータを収集することになります。データは何でもかんでも集めればいいというわけではありませんので、目的に応じたデータ収集を行うのも大切です。

また、選択したタレントマネジメントシステムに適したデータ・活用しやすいデータが何なのかを把握してからデータ収集を始めると効率が良くなります。

今回集めたデータは次の2種類です。

  • 社員の人事データ (年齢、職位、異動歴、資格、経歴、評価など)
  • プロジェクト履歴 (いつ、どんな、誰と)

④データ関連付けと管理

ここで行うのは、集めたデータを、分析し目的を達成するための作業です。いざ分析しよう!と意気込んだものの、「これフォーマットぐちゃぐちゃでそろえないと何もできない…」という経験もある方もいらっしゃるでしょう。

今回の場合は、集めたデータを、社員ごとに索引できるようにし、プロジェクトメンバーの関連性をタレントマネジメントシステム上で可視化できるようにしました。

タレントマネジメントシステムの良さのひとつが、社員の顔写真とともに、ダッシュボード上で一括で表示をしたり並び替えをしやすい点でしょう。これは表計算ソフトなどでは限界がある部分ですよね。このように表示されるだけでも、プロジェクトメンバーの構成がイメージし易いというのは大きなメリットです。

⑤分析

いよいよ、集めてきたデータを分析し、目的に必要な材料を作り出すフェーズです。

今回行った分析は「成功したプロジェクトと、結果の出なかったプロジェクトのメンバー構成を見比べる」ということでした。

これまでもメンバー構成の見比べ自体は行われていたかもしれませんが、以前であれば欠落しがちだった点が「客観的なデータ・証拠に基づいているか」ということです。つまり、属人的な、感覚値での評価だったかもしれません。

タレントマネジメントシステムに情報を一元管理し、プロジェクトメンバーを比べる際に、それぞれの個人の社内経歴・成果を追うことで、良い組み合わせと、悪い組み合わせの傾向を、客観的に見て取ることができました。また、それに基づいて、当時のPJリーダーにプロジェクト内の状況をヒヤリングすることで、傾向の正当性を確認することもできました。

⑥分析結果を活用した適正配置

今回の目的であったのは「属人的でない適切なプロジェクトメンバー配置」でした。

⑤までで行ったデータの収集・分析により、その結果を受け、今回はプロジェクトメンバーの適正配置を行いました。社員データを見て、「この社員は前回は上手くいっていないようだったから、優秀な社員がリーダーのプロジェクトにアサインしよう」「この社員は前回いい成績を修めたから、リーダーに抜擢してみよう。ただ、メンバーも平均的・平均以上に業務をこなせる社員にしておこう」など、これらを客観的なデータをもとに行うことができます。

何よりこの運用で人事として助かる点は、メンバー配置の説明の際に、論理的分析結果を元に行われた配置であるということを示すことができる点でしょう。これによって、リーダーやメンバーへの納得感も得ることができ、具体的な目標設定も行いやすくなります。

成功するプロジェクトの秘訣

上記の例が成功したのは、目的(ゴール)を明確にして、データの集め方とデータ間連携性を分析の見地から事前に想定及び準備していたことで、目的にあったタレントマネジメントシステムを選択できたことと、運用を回す為に極力シンプルな手順でデータの収集・保管ができるように工夫したことが要因としてあげられます。

「社員を育成する」と言っても、その目的と過程は、組織、人材、予算、など取り巻く環境によって異なります。せっかく導入した「タレントマネジメントシステム」が宝の持ち腐れにならない為にも、事前準備はしっかり行っていただければと思います。なかなか社内で検討ができない状況の場合は、最終目的までキチンと寄り添ってくれる外部の専門家に頼ってみるのも良いと思います。

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