世界最大のTechカンファレンス「Web Summit 2018」参加記

世界最大のTechカンファレンス「Web Summit 2018」参加記

世界最大級のテックカンファレンスである「Web Summit」に初めて参加いたしました。米ラスベガスの「CES」、西バルセロナの「Mobile World Congress」に次ぐ規模のイベントです。今回は、2018年11月5日から8日までの4日間、ポルトガルのリスボンで開催された「Web Summit 2018」の様子をレポートします。

Web Summit とは

「Web Summit」 は 2010年にアイルランドのダブリンではじまったテクノロジーカンファレンスです。初年度は参加者が400名でしたが、2016年に開催地をポルトガルのリスボンに移し、今年は7万人以上の参加者が集まる世界最大級のテックカンファレンスに成長しました。

今後10年間はリスボンで実施されることが決定されておりますが、ポルトガル首相 Antonio Costa氏曰く、「Web Summitがリスボンにもたらす経済効果は 3億ユーロ(約380億円)以上」だそうです。

さて、今年のオープニングセッションでは、Web Summit の創設者である Paddy Cosgrave氏が開会宣言を行った後、WWW(World Wide Web)の考案者であるTim Berners-Lee氏、Apple社のVice PresidentであるLisa Jackson氏、国連事務総長のAntonio Guterres氏、ポルトガル首相のAntonio Costa氏、リスボン市長のFernando Medina氏など、豪華顔ぶれの基調講演で幕開けしました。

オープニングセッションは、大勢の観客であふれかえり、Centre Stage には入りきれず、外に設置されたパブリックビューイングの周りにも人が詰め寄せた

2つの意味を持つ “50/50”

まず、1つは 2019年はインターネット利用人口が地球全人口の半分(50%:50%)に達する歴史的な年ということです。単にインターネットへ繋ぐ、だけでなく、個人のプライバシーやセキュリティをどうやって担保していくか、していくべきか、Webの有り方はどうかなど、問題提議がなされていました。また、ヨーロッパのイベントが故にか、各所で GDPR(General Data Protection Regulation; EU一般データ保護規則)が取り上げられていました。

HUAWEI 社提供の 5Gルータ。広帯域のネットワークがサービス提供されることでインターネットの世界も大きく変わるはず。

もう一つの50/50は、男性エンジニアと女性エンジニアの参加率です。今年は、女性のスピーカー、投資家、創業者、メディア、一般参加者を合わせると参加率 44.5% でした。Web Summit 主催者側のゴールとしては、50%:50% を目指すそうです。

スタートアップ企業

上記のような大手企業や団体の名だたる方々の講演以外に、Web Summitのメインイベントとして、スタートアップ企業が投資家との出会いを求めて出展するスタートアップブースが用意されています。

企業のフェーズによって分かれているブース

ブースは各企業のフェーズによって「ALPHA」「BETA」「GROWTH」の3つに分類されています。

  • ALPHA
    投資額US$ 1M以下の企業。プロダクトは開発段階の企業も多く、構想段階の企業も存在する。
  • BETA
    US$ 1M~3Mの投資を受けている企業。プロダクトは出来上がっている企業が中心。
  • GROWTH
    US$ 3M以上の投資を受けている企業。プロダクトは既にリリースされている。

狭き門「PITCH」

また、一般的な展示会と異なり、出展料を支払えば誰でも出展できるというわけではありません。書類選考やプレゼンを通過した選ばれた企業だけが出展出来ますが、競争率は非常に高く、2016年には 86,428社の応募の中から、最終的に選ばれたのは 3,055社とか。

その狭き門を通過した選ばれた企業であっても、更に会期中に連日、選考会(PITCH)が開催され、最終日にFinal PITCHが開かれます。

今年の受賞企業「Wayve」

今年の PITCH受賞者は、英ケンブリッジ大学の研究チームが創設したスタートアップ企業「Wayve(ウェイブ)」でした。「Wayve」は、AIの深層強化学習を活用し、短時間、かつ効率的に学習させることで、自動車の自動運転を容易に実現する仕組みを提案し、見事優勝を収めました。

これだけ厳選されたスタートアップ企業なので、投資家も大変注目しており、過去には、「Web Summit」に出展後に巨額資金調達を成し遂げたスタートアップが多数あります。

2011年に参加した「Uber」が37億円の商談を纏めたのを皮切りに、2014年参加の「stripe」が70億円の資金を調達したことなどがあげられます。こういったOBの輩出も、Web Summitがグローバルにおけるスタートアップ企業の中心的存在になっていると言えます。

BMW社出展ブースにて

Web Summit は複数の展示会が一堂に会したような巨大イベント

一般的に展示会というと、あるテーマが決められ、そのテーマに沿った基調講演や展示、セミナーが開催されます。「Web Summit」は、この一般的な展示会を一気に24のテーマで実施される複合イベントです。多種多様なテーマが並行して開催されており、セミナーも8つのステージで同時に開催されます。会場も非常に広い(端から端まで歩いて10分ぐらいかかる)ため、ウロウロしている間に聞きたいセッションが終わってしまいます。事前の予習は必須ですし、会場での回り方について作戦を立てておくことがベストです。

下記がフロアマップの全体図です。一番左側に「Centre Stage」があるアリーナ、その右側にPavilion 1から4まで出展ブースが並びます。

2018年の講演テーマ

以下に、本年開催されたテーマを一気に列挙します。

カンファレンス名概要
Auto/Teck自動運転、コネクテッドカー、IoTに重点を置いたカンファレンス
->binate.i(o)データドリブンの世界。データサイエンティスト、データアナリスト、ハッカー、エンジニアが一堂に介するデータに関する最前線のカンファレンス。
contentmakers,世界をリードするメディア企業を集め、コンテンツの作成から配布などメディアの未来を語るカンファレンス
creatiff.ヨーロッパ最大のデザインコンファレンスで、世界で最も認知されやすいパッケージ、イラスト、デザインについて語られる
CryptoConfビットコイン、ブロックチェーン、デジタルキャッシュ、暗号通貨など、お金にまつわるカンファレンス
DeepTech新しい科学技術の発明などに関するカンファレンス
Forum世界のリーダー、政策立案者、学者などが介し、技術未来について語るカンファレンス
FULLSTK開発者向けカンファレンスで、世界で最も優れた開発者、データサイエンティストが議論する
GrowthSummitスタートアップ企業向けカンファレンスで、世界の有名企業の創設者やCEOが経験談を語る
HealthConf私たちがより健康で長生きするためにはどのようにテクノロジーを活用すればいいか議論されるライフサイエンス系のカンファレンス
MODUMファッションテクノロジーカンファレンスで、有名ブランド、マーケッター、投資家、技術者が未来を描く
MoneyConf世界の大手銀行、ハイテク企業、新興企業が集う金融系カンファレンス
MusicNotes音楽系カンファレンスで、スーパースターや有名アーティストも参加し最先端の技術で音楽業界に改革をもたらす
PandaConf世界有数のマーケティングカンファレンスで、10,000を超える企業(業界大手企業、有名企業のCMO、代理店から新興企業まで)が参加するイベント
planettech環境をテーマにしたカンファレンス
Q+A参加者が有名スピーカーに直接質問をぶつけることが出来るステージ
SaaSMonster世界有数のSaaSのカンファレンス
SportsTradeスポーツビジネスカンファレンスで、スポーツ選手からスポーツ用品ブランド企業、小売業者、テクノロジー企業のオーナー、メディアまでが介し、スポーツ業界におけるテクノロジーの活用に関して語られるイベント
StartupUniversityスタートアップ目指す人が、CEO、創業者、投資家の方々から学ぶためのカンファレンス
TalkRobotAIおよびロボット関連のカンファレンス
UnBoxedコンシューマ向けエレクトロニクスショーで、最新の家電製品などが紹介される
CorporateInnovationSummit業界最前線にいる方々が集まり企業内のイノベーションについて議論されるカンファレンス
NightSummit毎晩リスボンの街中の至る所で開催される、人と人との交流を目的としたイベント
SurfSummit実はリスボンは世界有数のサーフィンスポット。エリセイラで屋外アクティビティ、パーティなどが開催されるネットワーキングイベント

イベントを支える専用アプリ

これだけの巨大なイベントを管理するのは、1つのスマホ専用アプリです。イベントへの申し込みから入場券の発行も全てアプリ内で完結します。イベントを最大限楽しめるかは、このアプリを最大限使いこなせるかどうかに掛かっていると言って過言ではありません。

このアプリには、全ての参加企業、展示内容、基調講演のスケジュールが登録されているだけでなく、参加者全員(スピーカー、出展者、スポンサーなども)が登録されています。登録者同士は、アプリ内で繋がり、チャットツールを使って連絡を取り合うことが出来ます。参加者であれば、見ず知らずの人とも会話することが出来るため、実際私も現地で初めて出会った方に話しかけられ、数社の担当者と連絡を取り合うことが出来ました。

セミナーセッション中にアプリから質問すると、前方スクリーンに自分の投稿内容が表示される仕組み。聴講者もセッションを聞いているだけでなく、参加しているという実感を味わえる瞬間。

番外編 盛り上がる会場の様子

最後に会場の雰囲気を少しでも味わってもらうため、写真でその様子を一挙にご紹介します。

今年の出展企業の中で一番大きな出展ブースを構えていた IBM社。

量子コンピュータ「IBM Q」が展示されていた

海外イベントならではの休憩スペース。

会場の至る所に設置されているアンケートボード。 「全ての人々がWebにアクセス出来るようになるまでの期間は?」

ポルトガル名物のエッグタルト。会場内でも売り子さんが巡回します。

会場内には多数のフードコートがあり、昼食は会場内で済ませられます。

スマホなしでは成り立たないイベントであるためか、会場の至る所にスマホの充電スポットが設置されている

毎晩、街の至る所で繰り広げられるNight Summit。音楽バンドあり、子豚の丸焼きあり、リスボンの街を挙げてのお祭り騒ぎ。お正月のような雰囲気。

最後に

ここまで読んでいただいた皆さん、そろそろご自身でも参加したくなってきましたでしょうか。世界で注目されている技術を知ることができたり、多くの方と繋がることのできるイベントですので、ぜひご興味のある方は参加されることをお勧めします。

来年の「Web Summit 2019」は、2019年11月4日~7日の4日間で開催される予定です。現在、850ユーロ(約11万円)で 1枚チケットを買うと、更にもう1枚無料チケットが付いてくる早期登録キャンペーン(50% OFF)が実施されていますので、是非ご活用ください。

また、各地域での姉妹イベントとして、北米版の「COLLISION」(2019/5/20~5/23, トロント)、アジア版の「RISE」(2019/7/08~7/11, 香港)、インド版の「SURGE」(バンガロール)も好評ですので要注目です。

今回、日本からのツアーで参加したメンバーで記念撮影。個人で来られている方も合わせると、日本からは 200人くらい参加されていました。

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