ロボットと人間が共存する社会に向けて必要なこととは? ~リテラシー教育の重要性について考える~

ロボットと人間が共存する社会に向けて必要なこととは? ~リテラシー教育の重要性について考える~

JTPは、神奈川県の「さがみロボット産業特区」が実施した「ロボットリテラシー授業」において、NAOを使った体験授業を行いました。ITの発展に伴い、コンピューターやロボットの活用領域が急速に広がっている今、不可欠となるリテラシー教育の意義を考えます。

小学校におけるプログラミング教育

第4次産業革命とも言われる、IoTやビッグデータ、人工知能、ロボットを核としたコンピューターの技術革新で、あらゆる活動の情報がデータ化され、従来の産業や社会の構造が変化を遂げるなかで、世界的にIT人材の需要が高まり、ICT力が国際競争力を左右する要素にもなっています。

初等教育の段階からプログラミング教育を導入する動きが諸外国で進んでおり、ついに日本でも、2020年度より、小学校におけるプログラミング教育が全面的に実施されることになりました。

プログラミング教育の必修化

文部科学省から出された手引きでは、プログラミング体験を通して、論理的思考力=「プログラミング的思考」を育成すること、そして、コンピューターの活用によって、さまざまな問題の解決に寄与できることに「気付くこと」がプログラミング教育のねらいであるとされています。

「プログラミング教育」と言うと、IT関連以外の分野では必要ないと考えられがちですが、今後、ITがさらに浸透した社会においては、生活をより豊かで便利なものにする可能性を持つコンピューターを使いこなせるリテラシーの学習機会として、多くの人にとって必要であると言えます。

小学校プログラミング教育の必修化に向けて、先行的に取り組みを始める学校や地方自治体が増えています。その中から、神奈川県が「さがみロボット産業特区」の事業の一環として実施した「ロボットリテラシー授業」をご紹介します。

神奈川県「さがみロボット産業特区」の取り組み

「さがみロボット産業特区」は、ロボットが、いのちや生活を支えるパートナーとして人々と共生する社会を目指す取り組みとして、2013年2月に国から「地域活性化総合特区」に指定された神奈川県の事業です。

「さがみロボット産業特区」では、少子高齢化の進行に伴い増加する介護・医療・福祉分野におけるニーズや自然災害への対応として、生活支援ロボットの実用化・普及を目指しており、すでに、特区内で研究開発・実証実験された多くのロボットが商品化されています。

今後、ロボット技術が果たす役割がさらに大きくなっていくことを踏まえ、2018年度からは、特区の対象とするロボットが、農林水産、インフラ・建築、交通・流通、観光、犯罪・テロ対策といった幅広い分野にまで拡大されました。

※対象地域
相模原市、平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、 綾瀬市、寒川町、愛川町

さがみロボット産業特区Webサイト
http://sagamirobot.pref.kanagawa.jp/

ロボットリテラシー授業

本授業は、2019年1月16日から2月18日にかけて、特区内の小学校9校を対象に実施されました。

授業の概要

1) テーマ

「ロボットを上手に使いこなすためのロボットリテラシーを身につける」

2) 授業内容

  • 全体学習
    ロボットの仕組みやロボットを使う際の心がまえを学ぶ
  • グループ学習
    介護現場などで使われているロボット(電動車いす、リハビリ支援ロボット、コミュニケーションロボットなど)を体験しながら、ロボットの正しい使い方を学ぶ
  • ロボットリテラシーに必要なことを考える
    NAOの教育における活用事例について、ご紹介しています。

はじめに、最新のロボットを紹介した動画をまじえながら、ロボットの種類や仕組み、使う際の心がまえなどについて、講義が行われました。

実際に介護現場などで使用されているロボットを体験するグループ学習では、JTPが機器提供を行ったNAOを含む、計6種類のロボットを体験し、それぞれの特徴と使い方の学習が行われました。

NAOには、多くのセンサーやカメラ、マイクが内蔵されており、さまざまな動作が可能です。医療、介護、教育などの分野においては、主にコミュニケーションの支援を行っています。グラフィカルな操作で、直感的かつ簡単に開発を行うことができるアプリケーションChoregraphe(コレグラフ)が搭載されているため、プログラミング教育の教材としても多く活用されています。

伊勢原市立大山小学校での授業の様子

児童たちは、ロボットと人間の違い、なぜロボットが必要とされているかなどの説明に、真剣に耳を傾けていました。

自己紹介やダンスなど、多彩な動作をするNAOにも興味津々の様子で、音声認識しやすいように話しかけるなど、NAOを使う際に注意すべき点を踏まえて、コミュニケーションを楽しんでいました。

また、自身が意図した通りにロボットに動作させるために必要なプロセスとして、児童がプログラミング環境にセリフを入力し、実際にNAOに発話させる体験も行われました。

同小学校は、「地域に根ざしたグローバル人材の育成」に向けた、文部科学省の「教育課程特例校」、そして伊勢原市の「特色ある教育モデル事業」として、低中学年から外国語活動の授業を実施していることもあり、多言語対応が可能なNAOと英語での対話を試みる児童もいました。

講義、体験後の質疑応答では、ロボットの機能や開発に関する質問が多く上がり、ロボットとの関係を受け身ではなく、積極的に活用しようという姿勢が見られました。

なぜ今、ITリテラシーが求められるのか

今回、「さがみロボット産業特区」が実施したロボットリテラシー授業は、講義やロボット体験を通して、その特性や活用方法を学習し、次代を担う子どもたちが、ロボットと共生するよりよい未来に向けて、理解を深める取り組みとなりました。

パソコンやスマートフォンが普及し、不特定多数の人がインターネットにアクセスできるようになっている現在、ネット上にあふれる膨大な情報を正しく理解・取捨選択するリテラシーの必要性が叫ばれて久しいですが、ロボットの利用にあたっても同様のことが言えます。

今後、コンピューター技術はさらに発展を続け、人口減少に伴い人手不足傾向にある労働市場において、幅広い領域でロボットや人工知能での代替が可能になると考えられています。例えば、製造業では、すでに多くのプロセスがロボットなどに取って代わられています。しかし、これらの技術は利便性とともに、間違った使い方による危険性を持つため、人間が的確な判断のもと操作・管理を行わなければいけません。

これからの社会においては、分野や職業にかかわらず、さまざまな活動において適切にITを活用するためのリテラシー教育を、より重要視する必要があるのではないでしょうか。

 

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