業界で求められるデータインテグリティや規制要件への対応と電子化による業務省力化やリソース最適化などを目的として、電子ラボノートを導入
富士フイルムRI ファーマ株式会社は、創業以来、核医学診療で利用される放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行っており、富士フイルムグループのメディカルシステム・ライフサイエンス事業の中核を担う会社として、機器・ソフト・材料・薬剤などが一体となったトータルソリューションを提供しています。
同社は、業界で求められるデータインテグリティや規制要件への対応と電子化による業務省力化やリソース最適化などを目的として、電子ラボノートを導入しました。今回は、生産本部 千葉工場 品質管理部の五十嵐 隆氏に、電子ラボノートの導入の背景やその効果についてお話を伺いました。
富士フイルムRI ファーマ株式会社
事業内容
新薬の研究開発、製造、物流、販売など


五十嵐 隆 氏
富士フイルムRIファーマ株式会社 生産本部 千葉工場 品質管理部 品質管理第二グループ 参事
「今、製薬業界全体で、データインテグリティ(以下、DI)への対応が必須になってきています。当社では、医薬品の製造時などに、成分の分析に化学分析機器を使用しますが、この際、GMPの規制要件に対応した形で、データの完全性を保つ必要があります。
機器によっては、機器単独でDI対応が可能なものもありますが、まだすべての機器では対応できないため、私たちは、試験記録の作成の部分を電子化することとし、電子ラボノートの導入を決めました。
電子ラボノートの導入によって実現できることの一つは、試験記録の改ざんを防ぐことです。例えば、測定して得た試験記録を改ざんしようとしても、電子ラボノートには、いつ/誰が/何の目的で操作したかの監査証跡が残るため、事実上、改ざんを防ぐことができます。
また、従来のように、試験記録を紙への転記で作成し管理していると、正しく測定できていても、書き間違いが発生するリスクがあります。そのため、作業者がチェックすることはもちろんのこと、作業者以外の人によるダブルチェックや、さらには、最終的には責任者がチェックする必要があり、責任者になればなるほど、紙のチェックに時間を取られていました。電子ラボノートでは、材料のロット番号などはデータベース化されていますし、データ入力の際にCSVに合格した電子ラボノートシステムを使うのであれば、電子ラボノート上に表示される数字を改めてチェックする必要はありません。これにより業務が省力化され、責任者も本来やるべき業務に集中できるようになりました。
試験記録の電子化は、従来の業務プロセスを変えることにもなるため、導入に向けては様々な壁が立ちはだかることがあります。しかしながら、DIを実現するためには、電子化が必要不可欠であり、これに対応することは私たち製薬企業としての使命です。一つ一つ乗り越え、対応を進めていきたいと思います。」
本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
この事例に記載された内容は2019年6月現在のものです。